study

学びたい

「奇跡のワイン」完成秘話
前高開校式典でOBの福島さん

2025.10.31

「奇跡のワイン」完成秘話
前高開校式典でOBの福島さん

 群馬県立前橋高校(天野正明校長)の開校記念式典が10月31日開かれた。埼玉県小川町で農薬や肥料を使わずに栽培したブドウで造るナチュラルワインを製造する武蔵ワイナリーの福島有造社長(昭和62年卒業)が記念講演し、「いま、やりたいことを一生懸命やればいい。人生に無駄はない」と遠回りをして天職に巡り合った自身の半生から後輩にエールを送った。

理科系から銀行、農家へ

 「奇跡のナチュラルワイン造り」と題した講演で、福島さんは高校卒業後の半生を振り返った。北海道大工学部を卒業、政府系と外資の2つの金融機関に勤務。起業して観光事業に携わった後、日本酒の酒蔵で杜氏として働きながら、2011年、43歳の時にブドウ栽培を始めた。

▲ワイン造りへの情熱を語る福島さん

 耕作放棄地を耕し失敗を繰り返しては生産量を拡大し2019年に自社醸造所を建設。複雑な発酵技術を要する日本酒の技術を応用したワインは2024年に香港で開かれた「和酒アワード」に初出品し入賞するなど、海外でも高く評価されている。

 「植物の成長ホルモンを理解すると、農薬や肥料は本質的に不要になる。木を元気にしてやると、木が気候に適合し、温暖化も関係なく栽培できる。昼夜の寒暖差の少ない小川町で黒々したブドウができたのは奇跡だと思う」と力説した。

▲雑草が生えたままのワイン畑

▲武蔵野ワイナリーの商品

 今後の展望について、前橋高校の後輩、栁田潤兵さん(平成24年卒)と赤城南面でワイン造りを計画していることを明かした。

 転職を繰り返したことには「人生に無駄はない」と前向きにとらえる。「人生は壮大な暇つぶし。人生はどれを選んでもすべて正解だと思う。前だけ向いて、壮大な暇つぶしを楽しもう」と結んだ。

2年後に創立150周年

▲校歌を歌う前高生

 前橋高校は1877(明治10)年9月、第十七番中学利根川学校を起源とし、2年後の2027年に創立150周年を迎える。

 開校式典で天野校長は「校訓である『質実剛健』、『気宇雄大』の精神を大事に、歴史と伝統を思い学ぶことを誇りと喜びにしてほしい」と訓示した。

▲訓示する天野校長

▲挨拶する反町敦同窓会長