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こめっこ
米粉で勝負、28歳のカステラ職人

2025.10.19

2枚の鉄板を操って

 南町の住宅街に、鉄板の焼ける香りが漂っています。黄色い看板が目印の「こめっこ」は、2025年7月にオープンしました。

 2台の焼き台の前に立つのは、28歳の町田虹希さんです。

 厚い鉄板2枚を重ねると、音もなく生地が色を変えていきます。香りだけが合図のように立ちのぼり、店の空気が甘く熱を帯びます。

▲生地を焼き台に

 16個入りBOXと「こめっこソフト」を購入しました。

 ソフトは桐生市「モーモーパラダイス」のジャージー牛ソフトに、焼きたてのベビーカステラを2個トッピング。ヒヨコの焼き印が香ばしく、思わず頬がゆるみます。口に運ぶと濃厚なミルクが広がり、もっちりとした生地と絡み合います。

▲こめっこソフト

東京で修業、米粉への転換

 町田さんは東京下町の老舗「中澤製菓」で5年間修業を積みました。縁日で行列ができる人気店です。

 「同じ材料ではそれ以上の味はできないと思ったんです」。迷いなく米粉への挑戦を決めました。

 「結果的にグルテンフリーになって、アレルギーのある方にも喜んでもらえました。でも最初はそこを狙ったわけではありません」。言葉に迷いがありません。

 自分の味をつくるという意志の強さ。

▲16個入りBOXを持つ町田さん

 米粉に合わせて、使う油も米油にしています。徹底しています。

 「焼きたてをひとつどうぞ」と差し出されたベビーカステラを口にすると、外は軽く、中はもちっと跳ね返すような弾力。シンプルだけど、芯のある味です。

 焼き台の前で、生地の色を見つめる町田さんの表情に、一瞬の隙もありません。

 若き職人のまっすぐな眼差しが、この店の味を支えています。

▲鈴のカタチが郷愁誘う

店舗情報

米粉のベビーカステラこめっこ

住所 前橋市南町4-4-2
営業時間 11時~18時
定休日 水曜(不定休あり)