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前橋ロケの「ブルーボーイ事件」 
東京国際映画祭ノミネートの快挙

2025.09.28

前橋ロケの「ブルーボーイ事件」 
東京国際映画祭ノミネートの快挙

 前橋市を拠点に活動する映画監督、飯塚花笑監督の新作「ブルーボーイ事件」の試写会が9月28日、前橋シネマハウスで行われた。上映後にはトークショーが開かれ、東京国際映画祭2025ガラ・セレクション部門へのノミネートが発表された。
(取材/阿部奈穂子)

トークで語られた制作の裏側

 エンドロールが終わるや否や、会場は大きな拍手に包まれた。「おもしろかった」「時間を忘れて引き込まれた」と観客たちは口々に。

 試写後のトークショーは、前橋シネマハウス支配人・日沼大樹さんがMCを務め、飯塚花笑監督とシネマテークたかさきの小林栄子支配人が登壇した。

▲飯塚監督(写真左)と小林支配人

 飯塚監督は「現存する資料はごく一部。週刊誌や新聞を徹底的に読み込み、証言を拾いながら8割を創作で組み立てた」と制作の舞台裏を明かした。すでに3回見たという小林支配人は「昭和の空気が細部まで再現され、良い意味での猥雑さがある」と作品を評価。 

 日沼支配人は自らもチョイ役で出演していたことを明かしつつ、「地元の協力に支えられた映画。何度も見ると新たな発見がある」と観客に呼びかけた。

▲軍歌を歌うサラリーマン役で出演した日沼支配人

 東京国際映画祭2025ガラ・セレクション部門へのノミネートについては、「映画祭はご褒美のような場。当事者のキャストがレッドカーペットを歩くことは歴史を変える出来事だと思う」と飯塚監督。トランスジェンダーの俳優が日本最大の映画祭で脚光を浴びる意義を強調した。

▲映画「ブルーボーイ事件」の1シーン

前橋シネマハウスでは11月15日公開

 映画は1960年代後期に実際に起こった“ブルーボーイ事件”を基に、人々の尊厳と人権を問い直す。高度経済成長の中、法の空白に置かれた男娼と、性別適合手術を行った医師の逮捕。裁判に挑む人々の姿を通じ、社会が抱える差別や偏見に迫る。

 主人公サチを演じるのは、オーディションで選ばれた中川未悠さん。弁護士・狩野を演じるのは俳優の錦戸亮さん。

 撮影の8割は前橋で行われ、地元の人々がエキストラとして多数参加した。

 前橋シネマハウスでは11月15日から、シネマテークたかさきでは12月5日から上映される。

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