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前橋国際芸術祭 みんなが主役
1年後へ月例カンファレンス始動
2025.09.19
2026年9月から2年に1度、前橋市中心街を舞台に開催する前橋国際芸術祭に向けて、準備のプロセスを市民と共有する月例報告会「めぶく。カンファレンス」が始まった。初回となる集いがちょうど1年前となる9月19日、中央通りの国際芸術祭準備室で開かれ、市民が主役となる芸術祭のあり方をめぐって意見交換した。
シルクの次はアートで世界へ
初回は総合プロデューサーの田中仁さんとプログラムディレクターの宮本武典さんが芸術祭の経緯や目的、概要を紹介した。田中さんは前橋がシルクでヨーロッパに知られた歴史を踏まえ、「もう一度、世界と繫がる。前橋の魅力を高めるのがアート」と国際芸術祭への期待を強調した。
▲「周回遅れで先頭に立った」と前橋を形容する田中さん
芸術祭に参加するアーティストも顔を出し、本番への思いを語った。
「空っ風」をテーマにした短編映画を制作するため、すでに前橋に滞在しているダンサー・映画作家の吉開菜央さんは「赤城山に登ってみて、『ここから風が吹くんだ』と実感し、冬の凄さが少し想像できた」と楽しそうに話した。
▲中心街で生活している吉開さん
ニューヨークで42年間生活し最近帰国した写真家、カツナイトウさんは前橋市内で暮らすアジアからの語学学生や職業訓練性のポートレートの撮影を始めた。「彼らが前橋で何をやりたいか。どう未来を切り開こうとしているのか。理解を深められる」と鑑賞を呼び掛けた。
▲外国人と共有できると話しカツさん
大阪万博と同じ規模
前橋工科大学の田所淳教授は世界的なメディアアートの祭典で欧州文化首都に選定されているオーストリアの地方都市リンツを挙げ、「ウイーンから近く人口も前橋と同じくらい。前橋をリンツにしたい」と訴え、自らはライブパフォーマンスイベントを企画していることを明かした。
▲田所さんはどんなパフォーマンスを見せるか
国際芸術祭のリサーチャーを務める臼井敬太郎准教授は大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」を取り上げ、「弁天通りに似ている。デザインを担当した藤本壮介さんはどこか意識している」と話し来場者を笑わせた。さらに、大屋根リングの中に前橋の中心街がすっぽり入るイラストを示し、「前橋に来ればいつでも万博が見られる」と中心街全体を会場にする国際芸術祭の規模を考えさせた。
▲万博会場と中心街を重ね合わせる臼井さん
会場にはアートに関心の高い市民や中心街の商店主らが集まり、立ち見がでる盛況ぶりだった。
中央通りで玩具店を営む黒田桂子さんは「子供も参加できるワークショップも企画してほしい」と要望した。
「めぶく。カンファレンス」は参加アーティストによるレクチャーやプロジェクト報告、企画検討や課題の議論を通じて、芸術祭の生成過程を地元の市民と共有するのが目的。開幕まで毎月1回開いていく。


