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102歳、富士山頂に立つ
前橋の阿久澤さん、ギネス認定
2025.08.16
102歳の阿久澤幸吉さん(前橋市市之関町)が8月5日、富士山の頂上に立った。男女含めて世界最高齢者。ギネス世界記録認定証が8月16日、自宅で授与され、阿久澤さんは「よく全部登れたね。周りのみんなのおかげだよ」と一緒に登ってくれた登山仲間や家族に感謝した。
「みんなのおかげだよ」
「2025年8月5日に102歳51日で富士山を登山した最高齢の男性としてギネス世界記録に認定されました」。認定員から認定証を贈られると、阿久澤さんは笑顔で受け取り、集まった群馬岳友会の会員や大勢の家族から祝福の拍手を浴びた。
▲ギネス世界記録認定証を手にする阿久澤さん
登山好きな阿久澤さんは昨年、富士登山の世界最高記録者が101歳であることを知るとギネス挑戦を決意した。名誉会長を務める岳友会の会員4人と家族3人に同行してもらい、96歳で登頂した2018年8月以来、7年ぶりに日本一の山頂を目指した。
▲8合目で記念撮影
▲急こう配の登山道をしっかり歩く
8月3日に5合目の吉田口から登山を開始、7合目と8合目の山小屋で2泊した。最終日の5日、9合目付近で苦しくなりリタイアしそうになったが、三女の星野元江さんに「一歩ずつ上に向かって頑張ろう」と励まされ、昼頃に山頂に着いた。
▲娘の元江さん、お孫さん夫婦と笑顔のゴール
前回と比べて「あの時は楽に登れたけど、今回はきつかった」と振り返り、目標のギネス達成を「まあ、満足している」とうれしそうに受け止めた。
再挑戦を問われると、「もう無理だよ」と笑って否定しながら、「まあ来年になったら分からないな」と言って周りを笑わせた。
▲登山したメンバーと
岳友会の会長、加辺英明さんは「転倒しないようサポートしたが、筋力がしっかりしているので自分の足でしっかり歩き、記帳所には真っ先に行った」と先輩の偉業を讃えた。
同じく岳友会の渡辺みさきさん、井上恵美さん、平林敦子さんの女性3人は「感動をいただいた。登頂した時、本人は淡々とした表情だったけど、周りは泣いてしまった」と今でも感激している。
書道、絵画も究める
15歳で初めて富士山に登り、100歳を超えてからも週に1度は赤城山などで登山する達者な阿久澤さんだが、今年は試練の年だった。
1月に桐生市で下山中に転倒し頭を打ち、3週間入院した。その後も、帯状疱疹や心不全を患い、家族は医師から「覚悟してください」と言われたこともあったという。
それでも、持ち前の前向きな精神と若いころから鍛えた肉体で危機を乗り越え、偉業を達成した。
85歳まで畜産の仕事に従事した。趣味も多彩で10代から書道、60代から絵画を始め、自宅に私設美術館を作り、後進の指導に励んでいる。
▲ギネス認定証授与式に駆け付けた家族と
いまも毎朝6時に起床、6時半からは自宅近くのデイサービスセンターでボランティアをして、自分の子供のような利用者の世話をする。
娘3人、孫7人、ひ孫18人に囲まれ、幸せな毎日を送っている。
テレビ朝日「報道ステーション」で18日放映
102歳の阿久澤幸吉さんの富士山登頂の様子はテレビ朝日「報道ステーション」が同行取材した。8月18日21時54分放映開始の番組のスポーツコーナーで紹介される。


