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前橋の過去と現在 重ねて
前橋工科大生が「光画百年の前橋」

2025.06.04

前橋の過去と現在 重ねて
前橋工科大生が「光画百年の前橋」

 前橋市中心街の過去の風景と現在の風景を重ねた作品展「おもい描く光画百年の前橋」が6月15日まで、前橋文学館1階で開かれている。前橋城や麻屋デパートがあった名所の時空を超えて重なった風景の“二重奏”を楽しめる。6月14日は誰でも簡単にできるフロッタージュのワークショップがあり、参加者を募集している。

前橋文学館で6月15日まで

 企画展は建築を学んでいる前橋工科大の臼井敬太郎研究室が企画、上州文化ラボが協力している。

 作品は昔の写真の上に透明なフィルムを貼り、黒のマーカーで印象的な輪郭を描き出して今の写真に張り合わせている。作品とともに基となった写真と解説文を添えている。

▲麻屋デパートの作品を解説する市川さん

 1934(昭和9)年に建築された麻屋デパートはアール・デコ様式のハイカラな百貨店だった。前橋空襲でも焼失を免れたが、取り壊され現在は中央駐車場となっている。

 担当した市川大祐さんは「往時の写真にはアーケードはなかったが、引き込まれるような感じ。自転車の人が多いのが印象的だった」として、自転車や木製の電柱を意識的に描き込んだ。

▲県庁昭和庁舎と前橋城。天守閣も見える

 前橋城は高崎からの県庁移転の際、県庁舎となり、跡地は現在も県庁昭和庁舎として活用されている。左には33階建ての新県庁舎もあり、「姿は変われども、行政を司る機能は引き継がれている」と解説する。

 銀座通りにある最先端の建物、ガレリアまえばし前の通りも見ものだ。戦前は芝居小屋があり、萩原朔太郎が撮影した活動写真館の写真を活用した。解説文では「今も昔も、ゆっくり歩きたくなる文化発信基地」と記している。

▲映画館はギャラリーなどのあるガレリアに変わった

 比刀根橋を題材にした黒坂剛士さんは「建物の高さの変化が面白い。昔は2階建ての木造がほとんどで大きな工場が目立っていた印象。今はRC造のビルが多い」と建築物に注目している。

 作品はこのほか、馬場川通り、桑町通り(中央通り)、堅町通り(国道17号)、不動貯金銀行(商工中金)、八間通り(八展通り)があり、全9点。

 指導にあたった臼井准教授は「時空を超えて、この街を作ってきた人々の『おもい』に触れ、より魅力的な街を「おもい描く」きっかけになれば幸いです」と鑑賞を呼び掛けている。

朔太郎の写真、家族の写真

 作品展は前橋文学館で6月15日まで開かれている「おもいおもいのおもい展」のコラボレーション企画。

 本展では萩原朔太郎が撮った風景写真や孫の萩原朔美特別館長が同じ場所で撮影した写真、市民から提供してもらった家族の写真を展示している。

 昭和20年から30年代に暑中見舞いとして配られた商店の団扇や懐かしい手ぬぐいも並んでいる。

▲貴重な写真が並ぶ「おもいおもいのおもい展」

壁や床の凸凹をアートにしよう

 ワークショップは表面が凸凹していたり、ざらざらしている壁や床、柱に紙を置き、凸凹を色鉛筆で紙に写し取るフロッタージュ。

 前橋文学館の中をいろいろと探検し、建築物でも備品でも好きな物を選んでアートを作る。

 臼井研究室の学生が指導する。

 時間は①13時30分②14時30分③15時30分-の3回。参加費は200円。

 問い合わせは前橋文学館(☏027-235-8011)へ。