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元黒飴 105年の歴史に終止符
6月27日で販売終了

2025.05.21

元黒飴 105年の歴史に終止符
6月27日で販売終了

 素朴な甘さで根強いファンがいる「元黒飴(げんくろあめ)」の販売が6月27日で最後となる。店主の健康と機械の調子が限界に達し、製造を終えることになった。創業105年。古き良き前橋市の名物の一つがひっそりと姿を消す。

金曜朝の行列が名物に

 金曜日の朝、前橋市住吉町の国道17号沿いに長い行列ができる。お年寄りが多く、1番乗りは開店の2時間前、午前8時ごろから並ぶ。地元が中心だが、伊勢崎市から通う熱心なファンもいる。

 午前10時。シャッターが開けられ、ようやく店開きとなる。

 

▲午前10時ちょうどにシャッターが開けられる

 お目当ては週に1度販売する「元黒飴」。砂糖と水あめで製造した飴は飾り気のない優しい甘さで、長く市民に愛されてきた。

▲元黒飴の袋。小袋の中の飴はオブラートに包まれている

 元黒飴を製造する室橋商店は1920(大正9)年に創業した。3代目店主の室橋俊久さんの祖父、元雄さんが考案、商品に名前の一字を付けた。

 室橋さんが体調を崩したのを機に2003年から生産を減らし、毎週金曜だけ店を開くようになった。販売するのは1人5袋まで。

 

▲丁寧に包まれた5袋で1セット

 行列ができると、店員さんが人数を確かめ、その日の販売量に達すると、「本日はこの方まで売り切れです」と書かれた掲示が掛かったポールを置く。運よく最後の1人となった客は行列が進むたびにポールを持って前進。何人もの客が恨めし気に掲示を見て、とぼとぼと帰っていく。開店からわずか10分だった。

▲幸運にも最後の1人となった客はポールを持って前へ進む

▲限定販売を申し訳なさそうに告知する貼り紙

 「楽しみにしてくれる常連さんが多い。続けられる限りは続けたい」とかつて話していた室橋さんだったが、自身の体調も長年の相棒だった機械も限界となり、閉店を決意した。

 シャッターの貼り紙には「製造者と機械設備の『老朽化』により、元黒飴を作りつづけることが難しくなりました」と書かれている。溶けた飴は非常に重い。家族の負担も大きかった。

▲最近貼った貼り紙では閉店のお知らせと長年のご愛顧を感謝した言葉を綴っている

 常連の80代の女性は「この飴の味が大好き。小さいころからずっと親しんできたの。金曜日はいつも並んでいたのに。もうなめられないと思うととても悲しい」と閉店を知り肩を落としていた。

 1袋(約13個入り)1袋378円。5袋入った1セットは1890円(ともに消費税込み)。

店舗情報

元黒飴本舗 室橋商店

住所 前橋市住吉町1-13-23
営業時間 10時~(売り切れ次第終了)
定休日 金曜以外