interview
聞きたい
【聞きたい 樺沢和佳奈選手▶2】
「かかあ天下」チームのお姉さん
2025.05.11
世界陸上の女子マラソン代表に選ばれた小林香菜選手は同郷の後輩。大学長距離界を沸かせた不破聖衣来選手は今春、同じ実業団チームの仲間となった。3年後のロス五輪は「かかあ天下」たちが席捲する-。
小林、不破選手とも仲良し
――マラソンに挑戦する樺沢さんの地元・前橋の後輩になる小林香菜選手(大塚製薬)が9月の世界陸上で代表に選ばれましたね。
3つ下で、私の妹と一緒に走っていました。自分をしっかり持っている子というイメージでしたね。最近、駅伝などのレースで一緒になる機会があり、仲良く話をするようになりました。
実業団1年目で、世界陸上の代表になるなんてすごいですね。どんどん成長し、吸収しているイメージなので、行けるところまで行ってほしいと願っています。
彼女はいい意味でマイペース。これから壁に当たることもあるでしょうけど、持ち前のマイペースで乗り越えて行ってほしい。
――走りのイメージはどうですか。
私と真逆です。すごいピッチ走法で、マラソンや駅伝、ロードに適しているとみます。距離が長くなるほど、ああいう走りが生きてくるのでは。
――マラソンに転向すると、強力なライバルになります。
一緒に走る機会があればうれしいです。ただ、私は誰が相手でも関係ありません。自分の走りをしっかり実行するだけ。自分の能力の100%、120%を出せればどんな走りになるか、どんタイムになるのか、それを試してみたいです。
▲世界陸上に出場する小林選手=徳島県鳴門市
――高崎市出身の不破聖衣来(ふわ・せいら)さんが同じチーム、三井住友海上女子陸上部に入りましたね。
お姉さんの亜莉珠(ありす)さんは1つ下で、中学、高校時代からよく走りました。聖衣来ちゃんは4つ下かな。東日本女子駅伝で同じチームで走ったことがあり、悩んでいた時期だったらしく相談されました。真面目すぎな子で心配しました。
縁あって同じチームで走れることになり、駅伝では同じ襷を繋げると歓迎しています。
1年目なので過度な期待はよくないですが、環境に慣れてくれば実力を発揮してくれると思います。
――彼女の走りはどうですか?
しなやかで才能を感じます。大学3年時に故障したようですが、体をしっかり作っていけば、いい走りがよみがえると思います。あせらないで、じっくり練習を積んでほしいです。
▲同じチームになった不破選手
恩師率いる共愛学園高に期待
――前橋には磨けば光る原石もいます。共愛学園高校は昨年、1年生だけで全国高校女子駅伝大会に出場しました。
中学時代の恩師で、監督を務める加藤雅史先生に依頼され、大会前に全国駅伝の経験や実業団での話を話しました。
練習も見ましたけど、それぞれが違う長所を持っていて、将来性を感じました。タイムも順位ももっと上に行けると自信を持って言えます。
1年生にも藤沢心々(ここ)さんというポテンシャルの高い選手がいます。都道府県駅伝で一緒になりましたが、走りの能力に加え、人間性も素晴らしいので期待大です。3年間、しっかり鍛えたら将来が楽しみです。
▲昨年12月、1年生だけで全国女子駅伝に出場した共愛学園高
引退後は起業家目指す
――頼もしい後輩たちが育ってきますね。最後にロサンゼルス五輪を集大成としている樺沢選手の夢を聞かせてください。
ロス後に引退するかはまだ決めていませんが、そろそろセカンドキャリアについても考えなければなりません。
引退したら、大学院に入って学び直すつもりです。自分らしく、社会に貢献できることを仕事にするため起業を考えています。やりたいことがいくつかあって、どれが自分に向いているか、何がお役になるのか、いまは構想の段階です。
――起業するなら前橋ですよ。
高校までずっと暮らしていたので、Uターンするかどうかは別として、何かしらの形でかかわることができればうれしいですね。群馬もぐんまちゃんも大好きなので。お世話になった故郷に恩返しをしたいと思っています。
▲将来は起業家を目指す樺沢選手
樺沢和佳奈(かばさわ・わかな)1999年、前橋市生まれ。前橋富士見中-常磐高-慶應大総合政策学部卒。全国中学校駅伝は2年連続優勝、高校時代は3年連続で全国高校駅伝に出場する。2020年東京オリンピックの聖火ランナーを務め、パリ五輪出場を果たす。


