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麦亭 44 年間ありがとう
釜揚げスパゲッティの元祖閉店
2024.12.16
馬場川通りにある釜揚げスパゲッティ専門店「麦亭」が12月15日、44年の歴史に幕を閉じた。納豆やたらこを使った和風のスパゲティ店では群馬県内の元祖的な存在。馬場川通りの整備が終了、新しく生まれ変わるのと同時に、御年80の店主は区切りを付けるかのようにひっそりと店を閉めた。
オープンキッチン、大釜
オープンキッチンの中、店主の塩沢宗馬さんが蕎麦屋のような大きな釜でスパゲティを茹でる。麺揚げも大きな竹ざる。人気のたらこ系は木の器にバターを落とし、具材と茹で揚がりのスパゲティを投入したらスプーンとフォークを使って混ぜ合わせて調理する。
太めのスパゲティはアルデンテよりやや柔らかめの茹で具合。明太子とイカ、アサリと納豆といった具材に実によく合った。
開店は1980年。馬場川通りは当時、ブティックが並び、にぎわっていた。そんなおしゃれな通りに、東京・渋谷で流行っていた和風スパゲティの店を出し、たちまち人気店となった。
料理人、画家の“二刀流”
塩沢さんは料理人とは別にもう一つの顔を持つ。風景画を得意とする水彩画家。前橋高校を卒業後、専門学校で水彩画を本格的に学び、赤城山や広瀬川、旧前橋駅舎といった身近な風景を優しい色合いと繊細な線を生かした独特な画法で描いた。「広報たかさき」の表紙絵を担当した時期もあった。
“二刀流”で活躍した塩沢さんに今年6月、食事を兼ねて取材した。にぎやかだった開店当時を懐かしむとともに、レンガ敷きの通りに整備され人通りが戻ったことを喜び、「開店した当時のようににぎやかになってよかった」と通りに優しい視線を送った。
もしかしたら、すでに店仕舞いを決めていたのかもしれない。最終日は閉店を聞きつけた常連客で最後まで満員御礼だった。
以前、麦亭を食レポした記事はこちら。