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「聖地」で吹奏楽の祭典 
12月8日、ぐんま吹奏楽フェスティバル2024

2024.11.23

「聖地」で吹奏楽の祭典 
12月8日、ぐんま吹奏楽フェスティバル2024

 群馬県内各地で活動している市民吹奏楽団が一堂に会する「ぐんま吹奏楽フェスティバル2024」(以下、ぐんフェス)が12月8日、ベイシア文化ホールで開かれる。同様の催しが県内で開かれるのは約40年ぶりで、前橋での開催は初。プログラム終盤は、出演団体全員の300人による合同演奏も――。2000人規模の大ホールで、吹奏楽の迫力を全身に浴びよう。
(取材/柁原妙子リポーター)

「県民会館大ホール」に響かせたい

 ぐんフェスは、前橋市で活動する創団4年目の彩葉吹奏楽団(団長・加藤佑弥さん、以下、彩葉)が県内の市民吹奏楽団約40団体と連絡をとり、参加を表明した9団体で実行委員会を立ち上げ運営される。県内の団体を結ぶ大規模な吹奏楽イベントは1985年から1990年、からす川音楽集団が高崎、太田、伊勢崎、渋川の4市で手がけたバンドフェスティバル以来となる。

 ぐんフェス実行委員長で彩葉の石合美里さんは「いままで自団のみで活動してきたが、県内の他団体とコラボレーションしたいという話は以前から出ていた。団員の平均年齢は27歳と若い。大きな事業をするなら、力のあるいまのうちにしようと決断しました」と話す。

 加藤団長は「何故今年かという面では、敢えて“県民会館”と言わせてもらうが、あのホールが来年度以降使えなくなるかもしれないということが大きかった。音楽をやっていると何かしらのイベントで通うホールで、『聖地』という存在なのです」と強調した。

▲左から彩葉団長の加藤さんとぐんフェス実行委員長、石合さん、副委員長、越沢さん

博覧会のような催しに

 プログラムは、第1部アンサンブル、第2部フェスティバル(各団の単独演奏)、第3部合同演奏の3部構成。

 合同演奏の曲は、J.P.スーザ作曲の行進曲「美中の美」と、「八木節」。

 選曲に関して、副委員長の越沢美里さんは「演奏者に比較的認知度が高く、取り組みやすいことを重視して、マーチのこの曲にしました。選んだ理由はもう一つあって、『美中の美』の原題の『The Fairest of the Fair』には“美人のなかで最も美しい”と“博覧会のなかで最も素晴らしい博覧会”という2つの意味があることから、県内の魅力ある吹奏楽団を知ってもらう、吹奏楽の博覧会的な催しにしたいという思いも込めています」と解説。

 また、「八木節」は前橋出身の作曲家、福島弘和さんの編曲作品をセレクトしている。

▲ぐんフェスに向け練習に熱が入る

前橋からは4団体が出演

  1. 彩葉吹奏楽団

 2020年11月結成、団員は18歳から52歳の55人(休団者も含む)。

 アンサンブル部門ではクラリネット三重奏、サキソフォン四重奏、金管五重奏の3チームが、11月24日開催の群馬県中部地区吹奏楽連盟アンサンブルコンテスト一般の部で演奏する曲を披露する。

 フェスティバル部門では、「祝典序曲『緑咲く風』」、「アナと雪の女王・メドレー」を45人で演奏する。指揮は稲毛信哉さん。

 「明るく温かみのあるマーチと有名なディズニー作品のメドレー曲を、エネルギーに満ち表情豊かな彩葉の音色でお届けしたい。私たちの音楽が、会場を訪れる皆さまにとって素敵な時間になったら幸いと、団員一同練習に励んでいます」と石合さん。

▲ぐんまマラソン応援演奏の様子

  1. 群馬大学吹奏楽団

 1977年4月1日設立。団員は荒牧キャンパス、昭和キャンパス、桐生キャンパスより集まる学部1年から大学院2年の35人。合同演奏で有志14人が出演する。

 「学外の催しに参加するのは現在の体制では初めてで、市民吹奏楽団の皆さんと繋がるきっかけにしたい。これからもずっと続いて、長い歴史を持つイベントになるといい」と、代表の情報学部3年、久保田梨音さん。「前例のないことに不安はあるが、たくさんの方々と関わることのできる貴重な機会であるため期待の方が勝っている」と副代表の理工学部3年、関美紗綺さん。

 アンサンブル部門では打楽器三重奏「ケルベロス・ドラムス」で魅せる。打楽器奏者の久保田さんは「コンガやボンゴ、ドラムセットを、打面を上にして中央に設置し、3人でそれらを囲んで演奏する様子は見ていても楽しい」と紹介。3人の動きを揃えるのに苦労しているが、「アンサンブルの醍醐味を十分味わえる、聴き映えのする曲なのでぜひ注目を」と呼びかける。

▲群大吹奏楽団代表、久保田さん(写真右)と副代表、関さん

▲演奏活動の活発化が今年度の目標

  1. ローズ・ウィンドアンサンブル

 今年度立ち上がった、前橋市内中高吹奏楽部顧問有志と、同市内市民吹奏楽団有志による実行委員会が運営する、前橋市内の中高生と市民バンドを繋いだ地域バンド。今年度の構成は中1から40代までの92人で、中学生53人、高校生30人、大人9人が通年で合同練習を行っている。

 フェスティバル部門でけやきセクション、ローズセクション、全員の3形態でそれぞれ「吹奏楽のための『エール・マーチ』」(指揮・小野豊和さん)、「吹奏楽のためのプレリュード~『時計台の鐘』の旋律による」(指揮・稲毛信哉さん)、「宝島」(指揮・島崎数也さん)を披露。

 実行委員の一人、前橋市立高校吹奏楽部顧問の稲毛信哉さんは、「生徒からは、月2回の練習のたびに自分たちの演奏を頑張らなければという気持ちを感じている。また、コンクール一般部門で名前を耳にする団体も多数参加するので、皆さんの演奏を心待ちにしている生徒は多く、中でも3月の成果発表で取り組む曲が複数あるので、非常に楽しみにしている」と話す。

▲ローズ・ウィンドアンサンブルの稲毛さん

▲レベルアップの志のもとに集まった

  1. ONE Wind Ensemble

 2003年10月誕生、前身は前橋市立第一中学校吹奏楽部OBOGバンド。団員は25歳から64歳まで、平均年齢39歳の27人。来年2月に定期演奏会を控えるなどの事情から、有志6人が合同演奏に参加する。

 「前橋から遠い地域の、コンクールなど公の活動をしていない団体の演奏が聴ける。また、地域によっての違い、例えば指揮の拍の取り方が振りの谷と山で違うなど、特色を見くらべることもできる。とても楽しみ。『県民会館』が使えなくなると聞いていたので、慣れ親しんだ前橋市民としては是非出たいと合同演奏のみ参加を決めた」と団長、木村隆幸さん。副団長の坂本光由さんも、「“県民会館”は言葉にできない思いが詰まる大切な場所。そこで演奏できる最後の機会なら是非参加したいという思いだった」。そういった特別なチャンスであるという位置づけから、特例として過去に在籍した団員にも声をかけたところ6名から手があがり、現役の6名と合わせた12名で合同演奏に出演する。

▲ONE Wind Ensembleの団長、木村さん(写真右)、副団長、坂本さん

▲安定感ある大人の演奏が魅力

ぐんま吹奏楽フェスティバル2024

会場 ベイシア文化ホール 大ホール(前橋市日吉町1丁目10-1)

日時 12月8日日曜 12時30開場 13時開演(16時30分終演予定)

入場料 無料

出演団体(五十音順、( )内は活動地域)

アンサンブル・フリオーソ(伊勢崎)

伊勢崎市民吹奏楽団(伊勢崎)

彩葉吹奏楽団(前橋)

おおたウィンドオーケストラ(太田)

からす川音楽集団(高崎)

群馬大学吹奏楽団(前橋)

モルトウィンドアンサンブル(伊勢崎)

ローズ・ウィンドアンサンブル(前橋)

ONE Wind Ensemble(前橋)

 

〈プログラム〉

◯アンサンブル

出演団体:アンサンブル・フリオーソ、彩葉吹奏楽団、群馬大学吹奏楽団、モルトウィンドアンサンブル

◯フェスティバル(単独演奏)

出演団体:アンサンブル・フリオーソ、彩葉吹奏楽団、おおたウィンドオーケストラ、からす川音楽集団、モルトウィンドアンサンブル、ローズ・ウィンドアンサンブル

◯合同演奏(9団体約300人による共演)

 行進曲「美中の美」 指揮 小林章悟

 八木節 指揮 稲毛信哉