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アンパイアの本音聞いて
NPB初代審判長、井野さんが著書
2024.09.18
NPB(日本野球機構)の初代審判長を務めた井野修さん(前橋高出身)が34年に及ぶプロ野球の審判員経験をもとに、個性的な監督や選手との思い出を振り返った『プロ野球は、審判が9割』を出版した。野村克也、長嶋茂雄、王貞治といったレジェンドとの出会いと交流から大事な試合で誤審をしてしまった話まで、いまだから明かせる事実を綴っている。
野村監督、ONの素顔は
井野さんはペナントレースで通算2902試合の審判を務めた審判界のレジェンド。日本シリーズを含め数々の名勝負を裁いてきた。
野村監督で最も印象深いシーンとして、1995年の日本シリーズ「ヤクルト対オリックス戦」を挙げ、「イチローを内角攻めにする」と公言しておきながら、実際には徹底した外角攻めで打棒を封じた作戦を振り返っている。
名監督について、「チャーミングな長島監督」「ホットな王監督、クールな星野監督」「影の審判部長」落合監督と題して、マスク越しに見てきた素顔を紹介している。
名選手にも触れ、“大魔神“と呼ばれた佐々木主浩のフォークは「打者の直前までストレートで来て、そこから直角に落ちる。絶対に打てない」と感じたと指摘。佐々木を含めた「9人の名投手」、「スラッガーBEST5」、「ポジション別ベストナイン」を列挙している。
誤審を告白したのは1996年の日本シリーズ「オリックス対巨人」戦。センター前の打球をワンバウンドとジャッジしたが、実はセンターが好捕していた。「YouTubeであのシーンを見てみると…」と誤審を認めている。
2000試合出場記念の古田敦也兼任監督や選手時代から一度も退場したことがなかった森祗晶監督を退場させたといった退場劇についても、後日談を含めて詳しく紹介している。
井野さんは「プロ野球の試合進行は審判が9割マネジメントしていきたい、していくべきだとの願望を込めた」と執筆の動機を語っている。
『プロ野球は、審判が9割』は幻冬舎発行。209㌻。1400円(消費税別)。前橋市内の書店で扱っている。
ペナント2902試合で審判
井野修(いの・おさむ)1954年、伊勢崎市生まれ。前橋高野球部ではエースとして活躍した。神奈川大在学中の1976年、セントラル・リーグ審判部に入り、2003年からセ・リーグ審判部長、2011年からNPB初代審判長を務めた。審判員歴34年、ペナントレースで通算2902試合に出場、日本シリーズは12度出場している。日本野球規則委員も務め、公認野球規則の編纂にもあたっている。