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前橋テルサ 解体決まる
小川市長「負担先送りできない」
2024.08.23
前橋市中心街にある閉館中の複合施設「前橋テルサ」の解体が決まった。小川晶市長が8月23日、市政記者会見で発表した。跡地は当面、市街地再開発事業に伴い数年後に閉鎖される中央イベント広場の代替地として活用、再開発事業で新たな中央イベント広場が誕生すれば、にぎわい創出を生み出す施設とする。
跡地は中央イベント広場の代替
小川市長は会見で、テルサの存続問題をめぐるこれまでの経緯、存続のために必要な多額の財政負担について説明、「市民の税金を使っても再開すべきだという意見もあるが、15年以上の議論の経緯を踏まえ、次の世代に負担を先送りさせるのではなく、これからの前橋、特に中心市街地にとってよりよい活用を図っていくことが重要であると判断した」と解体に理解を求めた。
代替のイベント広場にすることには「中央イベント広場では毎週のように市民主体のイベントが開催され、週末は街に人が増えている。街のにぎわいの流れを止められない」と強調した。
テルサ再開の道が閉ざされ、音楽や演劇に使うホール利用者がホールの確保に困窮しているとの指摘には、しののめ信用金庫内のつどにわホールを例に民間の小規模施設との連携を模索するとともに、中規模施設の整備に含みを持たせた。
市は市議会9月定例会に解体設計費を盛り込んだ補正予算案を提出する。本年度中に設計にあたり、解体工事は来年度後半から着手し2026年度中に完了。代替広場に整備を進める。
敷地面積は中央イベント広場が1200平方㍍、テルサが2300平方㍍と倍近くなる。
テルサをめぐっては2009年に包括外部監査で存続の必要性に関して指摘を受け、2017年に廃止を決定した。2013年度から2022年度まで指定管理制度を導入して運営。民間への売却や賃貸を公募してきたが不調に終わり、2023年3月で閉館した。
市によると、指定管理下の10年間で累積32億円の財政負担があり、閉館後も年間4000万円支出している。再開の場合、施設改修に20億円近く必要となるほか、管理運営に年間2億5000万円がかかる。
解体費についてはアスベストの調査や地下に埋設された杭の除去など不確定な要素があり、概算も未定であるとしている。
解体後の活用が大きな課題
テルサ解体の発表について、前橋商工会議所副会頭の石川靖さんは「テルサの解体が決まったわけですが、このことはテルサだけの問題ではなく、4番、8番の再開発、県民会館の今後の活用などとも絡んだことだと思っています。大きな意味で前橋の中心市街地を活性化するきっかけにもなると思っています。問題は解体後の活用であり、再開発のあと、どうするかと言うのが大きな課題ではないでしょうか」と解体後のあり方に注目している。
にぎわいの創出望む
テルサに近い中央通り商店街理事長の伊藤大介さんは「テルサの利用者が街に寄って食事をしたり、買い物をしてくれた。経済効果もあったし、にぎわいにも貢献していただけに、なくなるのは非常に残念です。新たにできるイベント広場やその後の施設がにぎわいを創出し中心街にとっていい方向に行くことを切に望みます。それと、ホールがなくなるのは文化活動の衰退につながるし、教育現場にも影響する。早急に対策にあたってほしい」と注文する。
早期にホールの充実を
中心街に住む筝曲家の鈴木創さんは「前橋テルサホールが消滅するということであり、存続が問題となっている県民会館の問題と合わせ、市内からどんどんとホールがなくなってきております。これは文化・教育・イベント関係にとって大きな痛手。まちなかの再開発の間のイベント広場としての活用は納得性もありますが、その後をどうするかが問題で、やはりホールを中心とした施設整備を早期に実現してほしいです。前橋全体の文化施設の充実と適正配置を望みます」とホール問題の解決に期待している。
前橋テルサ
1992年、前三百貨店があった場所に前橋勤労者総合センターとして建設された複合施設。地上12階、地下1階。ホテル、プール付きのフィットネス、500人収容の多目的ホール、大小の会議室、レストランが併設された。結婚式も開かれ、カルチャー教室には多くの市民が利用した。外観はレンガ調で、大正ロマンを醸し出している。雇用・能力開発機構と共同保有していた前橋市が2004年に買収した。