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【体験ルポ】前橋生まれのクラフトビール
「テングビール」飲んでみた
2024.01.26
フルーティーなIPAと酸味のあるサワーエール。JR前橋駅の高架下にある博多大衆酒場「幸ちゃん」で1月から販売している「テングビール」。前橋の水を使い、前橋市六供町の醸造所で作られるクラフトビールだ。製造者は「幸ちゃん」や地鶏屋「紋次郎」を経営するプロペラコーポレーション代表の尾込賢一さんと米国出身のビール職人、エサトロイ・ダニエルスさん。まずは、醸造所を訪ね、その足で幸ちゃんに行き、実際に味わってみた。(取材/阿部奈穂子)
遊び心のあるクラフトビールを
清潔で磨き込まれた醸造所の中に、550㍑の発酵タンクが4つと3つの仕込みタンクが並ぶ。2023年12月に稼働を開始した。
「クラフトビールを作ろうという構想は5年前から持っていた」と尾込さん。「自分の店で前橋産のビールを出したい。前橋の人にクラフトビールというものを知ってほしい」という思いがあった。
東京・浅草橋のベクターブルーイングに修業に行き、「アメリカ式の自由で遊び心のあるクラフトビールの基礎を学んだ」と振り返る。
そんなとき、強力な助っ人が現れた。米国ノースカロライナ州出身のビール職人、ダニエルスさんだ。赤ちゃんを授かったのを機に、ハワイから奥様の実家のある前橋市に移住してきたという。「テングビールのことをインスタで知り、雇ってください、と応募したんです」という。
まず2種類のビールを作った。ヘイジ―IPAとサワーエール。
ヘイジ―IPAはホップをたくさん使った爽やかなビール。「通常はアルコール度8~10㌫で作るが、日本人に合わせて5㌫に下げて作っています」
サワーエールは乳酸菌の入った酸味のあるビールで、アルコール度は3.5㌫と低めにした。
「近々、黒ビールに近い『SBA』と、二人の大好きなサッポロビールをクラフトで再現した『ラガー』をデビューさせます」。地場産の野菜や果物のビールも作っていきたいという。
将来的な構想として、「前橋駅の構内にタップバーを作りたい。2坪もあればできる。電車を乗り降りする人たちに気軽にテングビールを味わってほしい」と尾込さんは話す。
フレッシュな味わいが魅力
さあ、テングビールを飲んでみよう。向かったのは、JR前橋駅の高架下にある「幸ちゃん」。16時から営業している。
店長の橋本修さんが慣れた手つきで、タップからビールを注いでくれる。
ヘイジ―IPAは苦みが少なく、フルーティー。これはビールを敬遠していた人でも楽しめそうだ。200㍉㍑440円、360㍉㍑660円。
一方のサワーエールは酸味があって、個性的な味わい。揚物や味の濃い料理と相性が良い感じがする。200㍉㍑400円、360㍉㍑600円。
醸造所から距離にして約2㌔。格別にフレッシュなクラフトビールだ。前橋の水を使っていると聞き、ひと際美味しい気がする。
テングビールをもっと多くの店で飲めるよう、尾込さんはいま、クラウドファンディングを使って、冷蔵庫付き注ぎ口の費用を捻出しようとしている。クラフトビールは10度以下で保存しないと発酵が進むため、冷蔵庫付き注ぎ口の貸与が必要なのだ。1台約30万円で、20店舗分の購入を目指している。