interview

聞きたい

【聞きたい児島由光さん】
ノンアルコールペアリングの奇才

2023.11.10

【聞きたい児島由光さん】
ノンアルコールペアリングの奇才

白井屋ホテル「ザ・レストラン」の開業当時から片山ひろシェフとコンビを組むソムリエの児島由光さん。2人の関係を「漫才コンビ」と表現、常識破りの大胆なペアリングで客を驚かせ、感動させる。

新しい出会い探し続けて

――片山シェフとの出会いは?

東京・南青山の「フロリレージェ」です。片山シェフはザ・レストランのシェフになるため修業に来ていて、僕はワインの勉強をしたくて働いていました。ソムリエはワインと日本酒の資格を取りました。

――片山シェフとはどんな関係ですか。

「漫才コンビ」だと考えています。片山シェフと僕は。コンビがずっと仲良しでは面白くないでしょう。時々、「なんでやねん」ってならないと。

片山と僕がお客さまに召し上がっていく料理とドリンクを徹底的に突き詰めることから、納得のいくパフォーマンスにつながるんだと思うのです。

シェフが作る繊細できれいな料理にコメディーチックを加える。いいか悪いか分かりませんが、これで3年、おもしろくやってきた。やっている方も楽しまないとお客さんを喜ばせられません。

――ペアリングの際、どんなことを心掛けているのでしょう。

驚きや感動を届けようと、ペアリングはいろいろな種類のワインを味わっていただきます。ナチュールを入れたり、日本ではなじみのない地域のワイン、例えばルーマニアとかを使ったりします。地酒も必ず1つ入れます。

だけど、しっかりクラシックも用意する。振り幅を大きくするのを自分のルールにしています。ペアリングは緩急が必要。ただ、料理と合っているだけではつまらないでしょう。

▲ザ・レストランの落ち着きのあるカウンター

▲ノンアルコールのペアリングに力を入れる児島ソムリエ

――児島さんはノンアルコールにも力を入れていますね。

好きなんですよ、ノンアルコールのペアリング。自分がこだわっているのは1杯目で季節感を味わってもらうことです。

秋なら地元で採れた洋ナシを使い、そこにあえて焙煎感のある枯れた風味の台湾茶を合わせます。

温かいドリンクも飲んでいただきます。温度帯も変えないとつまらないので。

ドリンクもコースだと考えています。料理みたいに、次は何が出てくるか期待感をもってもらえればうれしいですね。

――最近はアルコールが飲めるのに、わざわざノンアルコールを選ぶ人もいるとか。

開店時はノンアルのオーダーが少なくびっくりしましたし、残念でした。ペアリング自体があまり認知されていなかった。お酒を飲まれない方はお茶やジュースのオーダーばかりでした。

でも、お飲みになった方からは「こんな世界があったんだ」と喜んでもらい、だんだんと受け入れられるようになりました。

最初はアルコールのペアリングより低い料金設定でしたが、いまは同額になりました。やっと受け入れられたと喜んでいます。

ノンアルコールのペアリングをしていただいた方には前回と同じにならないようにしています。何度来ても新しい出会いを楽しんでもらえるように、新たな味覚を探し続けます。

(写真提供・木暮伸也)

▲▼意表を突かれる児島さんのペアリング

こじま・よしみつ 1979年、伊勢崎市生まれ。都内のフランス料理店で修業、「フロリレージュ」で片山シェフに出会い「ザ・レストラン」でソムリエに。ノンアルコールペアリングに才能を発揮する。

店舗情報

the RESTAURANT(ザ・レストラン)

お問合せはこちら
027-231-4618
住所 前橋市本町2-2-15
営業時間 12時~14時30分(土曜、日曜のみ)、18時~22時