西尾
旨い魚と酒で１人呑み

深まる秋。旨い魚をつまみに１人静かに日本酒を呑みたくなりました。予約して刺身の盛り合わせだけお願いし、あとはお薦めの黒板を見て決めます。

まずはビール。お通しがすぐに来ますが、これが実にすごい。灯台つぶ貝の塩ゆでに鶏ササミ、ポテトサラダ。ササミはシソ、チーズ、明太子を巻いています。お通しだけで店の実力が分かりますね。

刺身に備えてお酒を頼みます。全国の銘酒と地酒が揃っていますが、迷わず「関東の華」の吟醸。食欲を誘うまろやかな酸味があり、食中酒には一番です。

刺身が来ました。感激です。９切れありますが、すべて種類が別。「刺し身はどれも１切れから注文を受けます」と店主の西尾欣也さんは涼しい顔です。

中トロと赤身は本マグロ、キンメは銚子の一本釣り、ブリも天然物。アマダイとホウボウは昆布締めしています。柳タコの柔らかいことといったら。

酒の追加とともに焼魚をお任せします。サンマは「まだ痩せている」とのことで、サバが出てきました。炭火で焼くと、どうしてこんなに旨いのだろう。たっぷりのおろしとともにのこすことなくいただきました。

先代が寿司屋さんで魚が中心ですが、赤城鶏の大きな焼き鳥や鍋も人気です。そして、意外なところでは５種類あるパスタも外せません。賄いでしたが、常連からのお願いでメニューに昇格したそうです。

店主はフランス料理の経験もあり、多彩な引き出しを持っていました。他にお客さんがいなかったので、カウンター越しにおしゃべりを楽しみました。

カラスミのタラ包み、白子ポン酢など魅力的なメニューがありますが、そろそろ〆ましょう。勧められるままメヒカリの炙り握りを。香ばしくて柔らか。淡白なのにまったり。最高の１人呑みでした。