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病気の予兆探るシステムを
東京大学附属病院臨床研修医・競技プログラマー
伊佐碩恭さん

2023.09.18

病気の予兆探るシステムを
東京大学附属病院臨床研修医・競技プログラマー
伊佐碩恭さん

AIやプログラミングを活用して安全で快適な社会を創ろうと、若き頭脳が挑戦している。医師とプログラマー。伊佐碩恭さんは”二刀流”で病気の予兆を早期に探ろうとしている。

医療とプログラミングの二刀流

東京・本郷にある東京大学医学部附属病院。今年4月から臨床研修医としてここで働く。病気と闘う患者に向き合いながら研鑽を積んでいる。

死とも直面した。「医師として避けられない現実と受け止めた。知識、技術を向上させるとともに、医療現場が抱えている問題点も直視したい」。研修医として過ごす2年間、自らに課題を課した。

白衣を着ない日は別の顔をのぞかせる。パソコンと対峙する競技プログラマーだ。

高校3年のとき、群馬プログラミングアワード(GPA)で鮮烈にデビュー、大学進学後も国内外の主要大会で名を轟かせた。

大学世界一を決める国際大学対抗プログラミングコンテスト(ICPC)世界大会は2021年9月、オンラインでの第44回大会で日本勢悲願の初優勝を果たした。22年11月にバングラディッシュのダッカで開かれた第45回大会は金メダルを獲得したものの、目標とした優勝はならず日本勢歴代最高タイの3位にとどまった。

最後のチャンスは11月のエジプト大会。高校時代からの盟友3人で臨む。「これが最後の大会。競技生活10年間の集大成として悔いのないよう戦います」と気合を入れる。

競技から離れてもプログラミングとはより深く付き合っていくことになる。

「医療とプログラミングの融合」を生涯かけて追求することを思い描いている。大学に入ったときから、社会に貢献することと自分の知的好奇心の両方を満たすことを仕事の絶対条件と考えていた。

具体的には医療の生産性を高め、病院に来る人を減らすことを構想している。「早い段階で治療できれば、長く健康でいられる」と早期に病気の予兆を探り、対処するシステムの開発を目指す。

それは、研修医として目の当たりにしている「疲弊した医療現場の救済にもつながる」と確信している。

いさ・ひろたか 1998年4月、前橋市生まれ。開成高-東京大理Ⅲ類卒。2023年4月から臨床研修医。中学生時代から競技プログラミングを独学で学び、国際大会で活躍している。