study

学びたい

【めぶく。学び舎】
共愛学園 須田洋一理事長に聞く
グローカルな総合学園に

2023.07.03

  • AD
【めぶく。学び舎】
共愛学園 須田洋一理事長に聞く
グローカルな総合学園に

「前橋英和女学校」として、1886(明治21)年に設立、135年の歴史を誇る共愛学園。キリスト教主義の教育を基盤として、こども園から大学までそろう総合学園となった。「グローカル」をコンセプトに掲げ、国際的な視野、能力を持ちつつ地域で活躍する人材の育成に力を入れている。

小屋原が学園都市に

―共愛学園が誕生して100年後の1988年、小屋原キャンパスへの教育機関の集積が始まりました。

前橋国際大の前身となる共愛学園女子短大の開設に続いて、岩神町にあった中学、高校が手狭になり移転しました。現在は短大を除く、こども園から小学校、中学校、高校、大学までそろう群馬県唯一の総合学園の本拠地となっています。

―JR駒形駅から近く、環境に恵まれた学園都市になっていますね。

園児から大学の科目履修生の70代まで、4月1日現在で3316人がこの小屋原キャンパスで学んでいます。教職員を含めれば、地域の昼間人口は4000人近くが増加することになりましょうか。

集積していることで、人的交流や施設の相互利用が進みました。例えば、中学、高校の教諭が小学校に出向いて専門科目を教えたり、大学の教員が中学や高校で講義することもできます。

―全国の大学学長が選ぶ「注目する学長」で大森昭生学長が1位になるなど、大学の評価が急上昇しています。

学生中心主義を運営の基本に置いています。教員と学生の間が非常に近いのが共愛の特長です。

「グローカル」というコンセプトを掲げています。国際的な視野、能力を持ちつつ、地域で活躍できる人材が求められています。コロナ以前は留学や海外研修に参加する学生が非常に多く、再び世界に飛び出す学生が増えてくると思います。

一方で、前橋のまちなかを元気にしようとイベントを企画・運営したり、地元の企業や商店とタイアップして商品開発に挑戦する学生もいます。教員も県や前橋市などの自治体の審議会に積極的に参加し、地域社会との連携を密にしています。

個性重視、自由な校風

―中学、高校も個性ある学校として人気を集めています

キリスト教主義の教育を基盤としています。毎朝、礼拝において讃美歌を歌い、聖書の教えを学びます。また、さまざまな行事を通してキリスト教に接し教えを学ぶ機会があります。

生徒の個性を重視する風土があり、自由な雰囲気が魅力につながっているのでしょう。

中学から高校への内部進学はほぼ100%です。一貫教育のメリットを最大限生かした授業カリキュラムを組み、部活動も一緒に取り組んでいます。

高校には内部からの100人に加え、260人が別の中学から受験して進学してきます。いろいろな文化が混ざり合い、いい刺激になっています。

卒業生に子供ができると、「ぜひ母校に通わせたい」と言ってくれるのがうれしいですね。

―小学校は英語に力を入れているようですね。

1年生からネイティブの教員による授業を行っています。授業時間は公立小学校の数倍を確保しています。

ICT教育も全学年で行っています。3年生からはプログラミングの授業もあり、プログラミング教育の先進校を目指しています。

―短大が昭和町に残っています。

現在の短大はクオーター制を導入し、1年間を4学期に分け、計8学期のうち1学期は留学したり、インターンを経験するなど、キャンパスの外で学ぶことになっています。かなり濃縮な2年間です。

将来的には小屋原キャンパスに移転し、総合学園として、より一体化した運営を行いたいと考えています。

▲「地域社会と連携を密にしている」と話す須田理事長

全部門で地域評価NO.1に

―5年後に創立140周年を迎えます。共愛学園の将来を展望してください。

こども園から大学まですべての部門とも学力を伴う地域社会からの評価がNO.1になることが共通目標です。各部門で年度ごとの目標項目を設定します。年度途中に自己点検して年度末に結果を数値化し、その結果を学内に公表しています。

共愛学園が常に注目され、魅力ある学園であるよう、DX(デジタルトランスフォーメーション)やアクティブラーニング教育の推進をはじめとする先進的な教育を取り込み、部活動の活発化を進めていきます。

▲地域にも開放されている共愛5号館

明治の生活偲ぶ宣教師館

最先端のデザインを施された建物が並ぶ共愛学園小屋原キャンパスの一角。130年前に建てられた旧アメリカン・ボード宣教師館が存在感を放っている。在校生や卒業生、教職員にとって大切な宝物はいまも資料館として活用されている。

学園黎明期の1892(明治25)年、前橋を拠点にキリスト教の伝道と共愛女学校への教育と啓蒙の支援を担った米国の独身婦人宣教師の居住用に建設された。

前橋空襲で周囲の多くの建物が焼失した中、焼夷弾を浴びながらも不発弾だったため奇跡的に焼失を免れた歴史がある。共愛復興の象徴となった。

明治期を代表する洋風建築物として群馬県重要文化財に指定され、中学、高校の岩神町からの移転に伴い現在地に移築された。

普請した棟梁の斎藤善太郎は前橋裁判所官舎や前橋郵便局など当時の主要な洋風建築物の多くを手掛けているが、現存するのはこの宣教師館のみ。屋根裏の柱には棟梁の署名が残っている。

宣教師館には宣教師たちの記録や蔵書、使用された食器が展示され、明治期に前橋に来た宣教師の暮らしを偲ばせる。

▲宣教師館の前庭でフォークダンスを楽しむ女学校の生徒=撮影は明治後半

▲宣教師館は現在地に移築され、資料館として活用されている

▲第1回卒業式。卒業生5人と在校生、教職員で記念写真=1892(明治25)年6月

▲関西方面への修学旅行。写真は奈良=1923(大正12)年5月

▲共愛学園最初の鉄筋校舎。名称は「共愛館」=1927(昭和2年)

共愛学園

共愛学園 1888(明治21)年、前橋英和女学校として設立、翌年に上毛共愛女学校に改称する。1939(昭和14)年、幼児園(現こども園)を開設。現在は大学まで6部門を擁する総合学園となっている。

共愛学園歴史

1888年(明治21年)
前橋英和女学校設立(現在の共愛学園中学・高校)
(前橋英学校の跡地、現在の前橋市大手町)
1889年(明治22年)
上毛共愛女学校と改称
現在の前橋市岩神町に校地購入、校舎建設
1892年(明治25年)
上毛共愛女学校第一回卒業式
1892年(明治25年)
このころアメリカン・ボードが宣教師館を建設
1905年(明治38年)
共愛女学校と改称
1939年(昭和14年)
共愛幼児園を開設(現在の共愛学園幼稚園)
(園舎は旧アメリカン・ボード宣教師館)
1945年(昭和20年)
前橋大空襲により校舎焼失、再建開始
1953年(昭和28年)
法令改正により共愛幼児園が共愛幼稚園に移行
1965年(昭和40年)
共愛幼稚園を共愛学園幼稚園と改称
1988年(昭和63年)
共愛学園女子短期大学を開設
(前橋市小屋原町)
1998年(平成10年)
中学・高校を小屋原キャンパスに移転
1999年(平成11年)
共愛学園前橋国際大学を開設
(短大から改組転換、男女共学化)
2001年(平成13年)
中学・高校を男女共学化
2001年(平成13年)
宣教師館の小屋原キャンパス移築完了
2004年(平成16年)
共愛社を共愛学園と改称
2006年(平成18年)
共愛学園幼稚園を小屋原キャンパスに移転
2009年(平成21年)
木瀬保育所が前橋市から移管され、共愛学園木瀬保育園を開設
2011年(平成23年)
総合グラウンドが完成
2011年(平成23年)
共愛学園学童クラブを開設
2016年(平成28年)
共愛学園小学校を開設
2016年(平成28年)
共愛学園幼稚園と共愛学園木瀬保育園が共愛学園こども園に移行
2021年(令和3年)
学校法人平方学園より明和学園短期大学が移管され、共愛学園前橋国際大学短期大学部を開設

 

共愛学園のWEBサイトはこちら