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【めぶく。会社】
カネコ種苗 金子昌彦社長に聞く
130周年へ良質なサービス提供

2023.06.02

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【めぶく。会社】
カネコ種苗 金子昌彦社長に聞く 
130周年へ良質なサービス提供

国内の種苗業界大手3社の一角を占めるカネコ種苗。1895(明治28)年の創業以来、農家に寄り添う姿勢を貫いている。新品種の開発にも力を入れ、サツマイモやエダマメのオリジナル品種が市場で好評を得ている。2年後に迎える130周年を見据え、金子昌彦社長は「安全で美味しい作物を提供し、みんなの笑顔を広げていきたい」と抱負を語る。

食糧危機救う夢のある仕事

―サツマイモのオリジナル品種「シルクスイート」に続いて、「栗かぐや」が2023年春に市場に投入されました。

栗かぐやはしっとり系のシルクスイートとはまったくタイプの違うホクホク系のサツマイモです。

焼き芋はしっとり系が最近のトレンドですが、胸がつかえてお茶を飲みたくなるような昔ながらの芋を求める人もいます。

さらに、芋ようかんや大学芋といった加工品は水分の少ない品種の方が適している。そういう需要を見込んで開発しました。市場での評判はいいので、栗かぐやがシルクスイートと並び二本柱になってくれると期待しています。

—新品種の開発には時間と経費がかかります。

タネ屋の宿命というか、性というか。ある程度しかたのないことだと考えている。

改良に取り組み、農家に実際に作ってもらい、改良を重ねていきますが、一つの品種を生み出すのには10年以上かかることも珍しくありません。くにさだ育種農場では野菜を中心に育種をしており、一番の稼ぎ頭になっています。

イモの育種はかつて主に国が取り組むものだった。波志江研究所をバイテク戦略の拠点として設立した時も栽培がうまくいくためのウイルスフリー苗の生産だけだった。でも、タネ屋として、それだけではつまらない。品種改良を手掛け「シルクスイート」が誕生した。

育種に取り組んでいる人は日本に何人いると思いますか?

―さあ、想像もつきません。

それぞれが専門家です。一つの野菜に10人か20人でしょう。マイナーだとせいぜい片手か。

助走期間が長く、必ずしも努力が報われないしんどい仕事ですが、うまくいけば美味しくて健康にいいものを作れ、病気に強く気候変動に耐えられるものであれば、食糧危機を救うことができる。
夢のある、やりがいのある仕事ではないでしょうか。

—確かにそうですね。地球人口は爆発的に増えていますから。

80億人以上いて、さらに増える。日本は人口減となっていますが、世界的には急増します。

アジアは市場的にも有望です。フィリピンとタイに子会社があります。タマネギ、キャベツ、カボチャなど日本の品種で通用するものもあれば、現地に適合させる必要があるものもあるので。

市場として大きいのは中国です。インドはベジタリアンが多く、野菜の消費量がすごく、ここも魅力的です。

やはり人口増が見込まれるアフリカや南米市場も強化しています。

▲食糧危機に向け、ハイテクと国際化に力を入れる

アナログでも現場主義守る

—国内に向けてはどんな戦略を描いていますか。

日本の農業は高齢化が進み、担い手が少ない。農業生産を下支えするのが我々の使命です。どんな手助けができるか、一緒に考え汗をかいていきます。
会社の方針が三つあります。

そのうち二つはすでにお話したハイテクと国際化。もう一つは現場主義です。

全国に21の支店・営業所があります。3、4カ所で済むかもしれないけど、あえてそうしない。畑を回って農家が何を求めているのか、心が通じ合っていないと分からない。ただ販売するだけではなく、コンサルタントができる会社でありたい。アナログですが、そういうスタイルを取っています。

—業界はカネコ種苗を含めた3社が大きなシェアを占めています。他社との違いは?

国内には50くらいメーカーがあり、それぞれ得意分野を持っていたり、独自の社風があります。

わが社は農業の総合企業を目指しています。一番は育種ですが、タネだけでは農業はできない。飼料作物の育種、養液栽培プラントの研究開発、肥料や農薬、農業資材の販売など、総合的に生産者を支援していきたい。

—最後に改めて、カネコ種苗はどのような会社ですか。

一言で言えば、「体と心の健康を作り、笑顔を育てる会社」です。堅実に研究開発に力を入れ、生産者に寄り添っていく。安全で美味しい作物を提供し、みんなの笑顔を広げていきたいと考えています。

また、社内では働き方改革の取り組みや、自主性の尊重など、居心地の良い会社であることを大切にしています。

当社は2025年に創業130周年を迎えます。タネから始まった会社ですが、最近は花や牧草にも力をいれており、事業の領域を少しずつ広げていっています。節目に向け、今後ますますの良質なサービス提供に努めて参ります。

▲カネコ種苗が開発したエダマメ「湯あがり娘」。茶豆特有の甘味と芳香があり、茹で上がりは鮮やかな緑色

焼き芋に人気の品種 続々

オリジナル品種のサツマイモを作ろう―。波志江研究所の研究員、榎本真さんが命題を与えられたのは2000年。当時、サツマイモはホクホク系の「ベニアズマ」が主役だった。

榎本さんが目指したのは「スイーツみたいなしっとり系のサツマイモ」。50組以上の交配を試し、何度も失敗を繰り返した。

5年ほど経ち、まずまず期待できるものができ始め、さらに改良や試験検討・調査を進め10年以上かけて完成した。

「絹のような滑らかな舌触りと上品な甘み」を両立した新品種は社内公募で「シルクスイート」と命名された。

「直後に富岡製糸場が世界遺産に登録された。いい名前を付けてもらった」と偶然の幸運を喜ぶ。

苗の発売は2012年。折から焼き芋ブームが到来、国が育種した「べにはるか」が主流となっており、個性のあるシルクスイートは市場から歓迎された。

「完成したときはただホッとしただけ。売れるようになって、じわじわと喜びが湧いてきた」と振り返る。

榎本さんの挑戦は続いた。「ホクホク系のイモを求めるファンも根強い」とベニアズマに近い「栗かぐや」を開発した。「2人目の子供」は今春、新発売される。

▲前身の金子種苗店。弁天通りと広瀬川の角地にあった

▲今春発売された「栗かぐや」(左)と人気のシルクスイート

カネコ種苗

1895(明治28)年創業。種苗の研究、生産、販売をはじめ、生産資材や園芸機材の販売を手掛ける農業関連の総合企業。本社は前橋市古市町。国内に21支店・営業所と3研究拠点、海外に3事業所を持つ。

カネコ種苗歴史

1947年6月
金子才十郎商店を母体とした群馬県種苗統制株式会社(後に商号変更し群馬県農産種苗株式会社となる)の卸販売部門が独立し、資本金18万円にて前橋市栄町(現千代田町)に発足。
1963年6月
カネコ種苗が群馬種苗株式会社(群馬県農産種苗株式会社より1948年6月に商号変更)と合併。(資本金1,000万円)
1967年11月
前橋市古市町(現所在地)に本社を新築移転。
1973年8月
東京緑肥種子株式会社を合併し東京支店を新設、種苗営業部門に緑飼部を発足。
1977年4月
前橋市千代田町に株式会社カネコガーデンショップ(現・連結子会社)を設立。
1981年11月
日本証券業協会に店頭登録。
1982年10月
フィリピンに現地法人フィリピーナス・カネコ・シーズ・コーポレーション(現・連結子会社)を設立。
1985年8月
バイオテクノロジー研究専門の波志江研究所を伊勢崎市に建設。
1987年12月
バイオテクノロジー技術によりナガイモ、ヤマトイモ、サトイモなどのミニチューバー(ウイルスフリーの小さい種イモ)の作出に成功。
1990年9月
タイに現地法人カネコ・シーズ・タイランド・カンパニー・リミテッド(現・非連結子会社)を設立。
1991年1月
本社現所在地に本社屋ならびに総合倉庫を新築。
1991年12月
株式会社三福ならびに株式会社宇塚至誠堂を合併。
1992年12月
協和産業株式会社を合併。
1996年12月
株式会社コバヤシを合併。
1997年12月
株式会社ナカジマ園芸を合併。
2002年4月
日本たばこ産業株式会社より、花卉品種に係る知的財産権等の一部を譲受。
2002年10月
株式会社アスカムの農薬の販売に係る営業を譲受け、古川営業所及び山形営業所を設置。
2002年12月
木徳神糧株式会社の園芸用品の販売に係る営業を譲受。
2003年1月
安藤株式会社の農薬の販売に係る営業を譲受。
2004年12月
日本証券業協会への店頭登録を取消し、ジャスダック証券取引所に株式を上場。
2007年1月
株式会社ゲン・コーポレーションの飼料作物種子の育種・生産・販売に係る事業を譲受。
2010年3月
株式会社ベルデ九州の株式51%を取得。
2010年4月
ジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所JASDAQに上場。
2012年3月
株式会社ベルデ九州の株式49%を追加取得し、完全子会社化。
2012年6月
株式会社ベルデ九州を合併。
2003年1月
安藤株式会社の農薬の販売に係る営業を譲受。
2013年7月
大阪証券取引所と東京証券取引所の現物市場統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場。
2014年6月
前田農薬株式会社の株式100%を取得し、完全子会社化。
2015年8月
東京証券取引所市場第二部に市場変更。
2016年5月
東京証券取引所市場第一部に指定。
2017年12月
前田農薬株式会社を合併。
2018年4月
日東農産種苗株式会社が自社開発した野菜品種(主にパセリ・レタス・エダマメ)の遺伝資源及び生産・販売に関する事業や、花き種苗の遺伝資源などを譲受。

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