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室生犀星『前橋公園』が歌に
11月1日のつどにわコンサートvol.4で初演

2026.10.07

室生犀星『前橋公園』が歌に
11月1日のつどにわコンサートvol.4で初演

 室生犀星が前橋を訪れて詠んだ詩「前橋公園」に曲を付けた新作が11月1日、「つどにわコンサートvol.4」で初演される。前橋出身のフルート奏者、鈴木舞さんがプロデュースするシリーズで、今年で4回目。鈴木さんのほか、ピアノの藤井由香さん、メゾソプラノの志村美土里さん、東京混声合唱団カルテットが出演する。
(取材/柁原妙子リポーター)

「すゐすゐたる桜なり」ではじまる9行の詩に

 新作「前橋公園」は、室生犀星が大正7(1918)年、29歳の時に自費出版した『抒情小曲集』に収められた9行の詩を題材にしている。

 冒頭は「すゐすゐたる桜なり」。桜の咲く前橋公園の情景が、簡潔な言葉で描かれている。

▲桜が咲き誇る春の前橋公園

 この詩に新たな音を与えたのが、鈴木さんの夫で作曲家の綿引浩太郎さんだ。鈴木さんから今回のコンサートに向け、混声四部合唱、ピアノ、フルートによる新作を委嘱された。

 「前橋市ゆかりの作品を探す中で、この詩にたどり着きました」と綿引さん。冒頭の「すゐすゐたる桜なり」の旋律は、詩を繰り返し口ずさむうちに生まれたという。その旋律をモチーフに、ピアノ、フルート、合唱が重なりながら一つの作品へと展開していく。

 「歌を聴いた人の目の前いっぱいに、桜が咲くイメージが鮮やかに浮かんだら、作曲家冥利に尽きます」と作品への思いを語る。

▲鈴木舞さん

 鈴木さんは「少し長めの前奏が特に印象的です。フルートとピアノから、前橋公園の桜が散りながら舞うような情景を感じます。そこへ合唱が加わることで、室生犀星の描いた景色がさらに広がっていきます」と作品の魅力を語る。

 前橋出身の鈴木さんにとって、故郷を題材にした作品を演奏することも大きな意味を持つ。「生まれ育った街を題材にした作品を演奏できることそのものが嬉しい」。

 混声四部合唱とピアノにフルートを加えた編成も珍しく、フルート奏者として新たな表現に挑む機会となる。

クラシックから現代曲まで11曲

 コンサートのテーマは「夢と祈りの先に、音の風景が生まれる。」。鈴木さんが選曲し、バッハ、ヘンデル、プーランクなどのクラシックから、武満徹作曲、谷川俊太郎作詞の「MI・YO・TA」、星野富弘の詩による「ばら・きく・なずな―母に捧ぐ―」、新作「前橋公園」まで11曲を演奏する。

 鈴木さんは「テーマに沿いながら、バラエティーに富んだプログラムになりました。故郷や大切な人への思いを感じていただけたら」と話す。

▲藤井由香さん

 共演する藤井さんは鈴木さんと同じ県立前橋女子高出身で、同コンサートには初回から参加。

 高崎市出身のメゾソプラノ、志村さんは初参加となる。志村さんが東京混声合唱団の団員であることから、同合唱団のカルテット出演も実現した。東京混声合唱団が前橋で公演するのは15年ぶりという。

▲志村美土里さん

 アンコールには、合唱曲として広く親しまれている「大地讃頌」を予定する。鈴木さんは「知っている方はぜひ一緒に歌ってください。客席からも歌声をホールに響かせて」と呼び掛けている。

▲東京混声合唱団カルテットの皆さん

 つどにわコンサートは2023年、前橋市中心部における演奏会場の可能性を探ろうと、鈴木さんの発案で始まった。

 会場のしののめ信用金庫前橋営業部3階にあるつどにわホールは本来、会議や研修を想定した多目的スペースで、残響を抑えた設計となっている。一方で鈴木さんは「残響は少ないものの、天井が高く、すっきりした響きがある」と評価する。演奏者の背後に反響板を設置するなど、さらに音響を工夫する構想もあるという。

 今年も昨年に続き、会場にグランドピアノを搬入する。通常のコンサートホールとは異なる空間を生かしながら、室生犀星が描いた前橋の風景を音楽で立ち上げる。

▲二層吹き抜けのホール

つどにわコンサートvol.4 

日時 11月1日(日)開場13時30分、開演14時
会場 つどにわホール(前橋市千代田町2-3-12)
入場料 一般:4,000円、18歳以下:無料
チケット 創業カフェ・ムーちゃん、ピアノプラザ群馬高崎本店