watch

見たい

萩原朔太郎の「悪筆」を問う
前橋文学館で生誕140周年展

2026.03.21

萩原朔太郎の「悪筆」を問う
前橋文学館で生誕140周年展

 萩原朔太郎の生誕140年を記念したコレクション展「『悪筆。文字書体をなさず。冷汗冷汗。―萩原朔太郎と文字』」が3月21日、前橋文学館で始まった。近代詩を切り開いた朔太郎の「悪筆」と評される独特の筆跡に着目した企画。朔太郎の直筆原稿や書簡など160点を展示している。

圧巻の書道パフォーマンス

 「はぁ、はぁ」「ぜぃ、ぜぃ」。床材に使われる白いリノリウムにピンク色の油性インクを染みこませたバスタオルで文字を書いていく。荒く息を吐き、滑る足を懸命にこらえる。5分ほどの格闘を終え、ようやく笑みを広げた。

 オープニングイベントで、書家の沢村澄子さんが書道パフォーマンス「悪筆ニテ、モノ申ス!」を披露した。全身を使った豪快な動きに、会場は静かな緊張感に包まれ来館者は息を飲んで見入っていた。

▲気合を入れて書き始める

▲2文字目に入る

▲膝を付いてフィニッシュへ

▲完成してほっと

 萩原朔美特別館長のリクエストで書いた書は企画展のタイトル「悪筆」。満開のサクラのような色で書かれた「悪筆」は優しい印象を与える。

 沢村さんは「朔太郎の書を見るたびに涙が出てくる。剥き出しの詩人の美しい魂がどんどん飛び込んでくる」とその魅力を語った。

▲朔太郎の書を愛する沢村さん

▲縦210㌢×横430㌢。1階に展示する

文字の変容を見比べる

 会場には朔太郎の自筆の原稿、書簡、ノート、短冊が並び、時代ごとに変わる書体を見比べることができる。

 朔太郎の詩の世界を題材にした映像作品の上映、ゆかりの人物による手書き作品の展示もあり、文学と地域文化を多角的に体感できる構成となっている。

▲自筆の原稿

▲楽譜もある

▲「習字を習う」と朔太郎

▲称賛する草野心平

▲熱心に書を見る来場者

▲手書きに挑戦できるコーナー

 萩原特別館長は「若い時の丸文字から晩年の鋭角的な文字への変化は、そのまま内容の変容を表しているよう。多くの人がパソコンでの執筆になってしまったので、いまは文字から個性は失われてしまった。詩人の手書き文字の変化に着目して、形式と内容、筆跡と意味、グーテンベルクの功罪、道具とデザインについてなど、さまざまな切り口で楽しんでいただければ幸いです」と来場を呼びかけている。

 会期は5月24日まで。4月25日には担当学芸員によるギャラリートークが開かれる。

『悪筆。文字書体をなさず。冷汗冷汗。―萩原朔太郎と文字』」

お問合せはこちら
027-235-8011(前橋文学館)
・会期 2026年3月21日(土)~5月24日(日)
・時間 9時~17時
・休館 水曜(4月29日、5月6日を除く)、4月30日(木)、5月7日(木)
・観覧料 一般500円(高校生以下、障害者手帳持参者と介護人1人は無料)