watch
見たい
前橋市景観資産に新たに7件登録
白井屋ホテルや原嶋屋総本家など
2025.09.24
前橋市は良好な景観を未来に残すため、2019年度から「景観資産登録制度」を実施している。2024年度は市民公募と審議を経て7件が新たに登録された。白井屋ホテルや焼きまんじゅうの老舗・原嶋屋総本家、六供八幡宮のクスノキなど、街を象徴する建物や樹木、風景が加わった。
建物・老舗・現代建築が共演
今回登録された景観資産は、建造物3件、樹木2件、風景・視点場2件の合計7件。市内の歴史や文化、自然を反映した多彩な顔ぶれが揃った。
建造物ではまず、まちなかのシンボル的存在となった「白井屋ホテル」。江戸時代創業の老舗旅館を前身に、藤本壮介氏が設計した「ヘリテージタワー」と「グリーンタワー」が一体となる建物は、吹き抜けのアート空間と豊かな植栽が融合し、国内外から注目を集めている。
次に、住居やギャラリー、レストランを併設する複合施設「まえばしガレリア」。平田晃久氏が設計した樹冠を模した外観には「大樹の下に人が集う」という思いが込められ、アートと食文化の拠点として街のにぎわいを生み出している。
もう1件は、群馬のソウルフード・焼きまんじゅうを今に伝える老舗「原嶋屋総本家」。1857(安政4年)創業で、明治期から現在の場所で営業を続ける店構えは黒柱と白壁が印象的だ。2000(平成12)年度の「まえばし都市景観賞」も受賞している。
▲白井屋ホテル
▲まえばしガレリア
▲原嶋屋総本家
クスノキの巨樹と赤城の風景
樹木では、六供町一丁目の「六供八幡宮のクスノキ」と「前橋るなぱあくのクスノキ」が選ばれた。いずれも樹齢100年以上とされ、住宅街や遊園地に力強く立つ姿は地域の人々の目を楽しませている。特にるなぱあくのクスノキは、約180年前に茶店の主人の先祖が伊勢参りの記念に植えたとの伝承が残っている。
風景・視点場には、「前橋市役所12階から望む赤城の寝牛」が登録された。晩秋から早春の夕刻、赤城山の鍋割山と東側の山影が、まるで牛が伏せているように見える現象で、限られた時期にしか現れない希少な景観だ。もう1件は利根川沿いの「南町公園」。桜やバラ、アジサイなど四季折々の花が楽しめ、春のカワヅザクラやソメイヨシノは地域の人々に親しまれている。
▲六供八幡宮のクスノキ
▲前橋るなぱあくのクスノキ
▲前橋市役所12階から望む赤城の寝牛
▲南町公園
景観資産登録制度は、前橋市が誇る景観を未来へ継承するために2019年度に創設された。現在までに建造物30件、樹木5件、風景・視点場20件が登録されている。


