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前橋のまちづくり 全国のお手本
伊東地方創生相が中心街視察
2025.08.30
前橋市の民間主導のまちづくりを全国展開の参考にするため、伊東良孝地方創生担当相は8月30日、前橋市中心街を視察した。10年前までシャッター街だった中心街を歩いて回り、新規に出店した書店や飲食店の若き経営者を激励した。伊東担当相は「全国のまちがここをお手本にしてほしい」と前橋モデルを全国展開していく考えを明らかにした。
書店、飲食店経営者を激励
▲白井屋ホテルの前で
中心街再生のランドマークとなっている白井屋ホテルを見学した伊東担当相は、まちづくりの中核を担う企業家有志でつくる太陽の会の代表理事、田中仁さん(ジンズホールディングスCEO)の案内で中心街を視察した。
太陽の会の寄付金をもとに親水デッキが作られ、レンガ敷きとなった馬場川通りを歩き、「いいですね。市民の名前がレンガに彫られていて」と感心。白井屋ホテルの一室のデザインを手掛けた世界的なプロダクトデザイナー、ジャスパー・モリソンがデザインした公衆トイレに驚いていた。
▲ジャスパー・モリソンの公衆トイレも視察
「全国の書店経営者を支える議員連盟(書店議連)」の事務局長を務めており、中央通りに7月に開店した書店「水紋」に立ち寄った。脱サラしUターンして起業した小澤亮太さんに「大変だろうが頑張って。まちから本屋さんがなくなったら大変だから」とがっちり握手した。
▲市街地に新しく生まれた本屋「水紋」で
創業150年の老舗呉服店「小川屋」で伊藤大介社長が着物姿で出迎えると、「暑いのに大変だね。何代目?」と気軽に声を掛けた。
行列の絶えないハンドクラフトパスタの「グラッサ」、20代が経営する「モアスープ」や「ラフコーヒー」、弁天通りの食堂「円」を訪問。若い人たちが中心街で次々に起業している実態に「前橋はすごいね」とまたも感心していた。
▲小川屋、伊藤社長と歓談
▲モアスープの店主ご夫妻と
アートを核にしたまちづくり
視察に先立ち、前橋の現状紹介と意見交換の場が設けられた。
中心街再生事業、群馬県庁-JR前橋駅間を結ぶクリエイティブシティ構想などまちづくりに関する事業を説明。田中さんは来秋開かれる前橋国際芸術祭にふれ、「商店街をミュージアムにする。アートを核にすると世界から人が集まってくる」と、「食」を含めたアートで前橋しかできないまちづくりを薦めていく構想を示した。
▲めぶくIDについて解説する日本通信社長、福田尚久さん
視察には石破茂首相直轄の「民による新たなまちづくり推進会議」の有識者3人が同行した。
元岩手県知事で福田康夫内閣では総務相を務め、人口問題に関して提言している日本郵政の増田寛也社長は「教育、文化、スポーツの3つのどれか1つ、できれば2つあると、持続可能でいい形になる」と指摘、中心街にできる小・中一貫校やデジタル共創学部を新設する共愛学園前橋国際大による「教育移住」に期待した。
▲共愛学園前橋国際大、大森学長は教育について
6月には石破首相も視察
▲エブリパンを試食
中心街の視察後、一行は前橋市川原町のジンズパークを訪問した。
パーク内で販売している焼きたてのパンを食べながら、地域の課題解決をビジネスと結び付けるジンズの取り組みについて説明を受けた。
伊藤担当相は視察後、「商店街を歩き、非常に参考になった。全国のまちが元気がでるようにここをお手本にしてほしい」と絶賛した。
▲ジンズパークへ
民間主導の前橋のまちづくりは全国で注目されている。石破茂首相が6月に6時間半にわたって視察したのをはじめ、平将明デジタル担当相、衆議院予算委員会も前橋を訪れている。
▲6月に前橋を視察した石破首相
前橋ヒラメ「美味しいね」
ミーティングを兼ねたランチは白井屋ホテル「ザ・レストラン」で開かれ、「上州キュイジーヌ」を掲げる片山ひろシェフのフランス料理が振る舞われた。
上州和牛のステーキをメーンとするコースで、伊東良孝担当相が驚いたのは「前橋ヒラメ」のソテー。「海なし県でヒラメ?」と不思議そうに口に運び、「うん、美味しいね」とにっこり。
前橋ヒラメは環境技術研究所開発センター(前橋市六供町)で養殖されており、すべての食材を群馬県産にこだわるザ・レストランでは唯一の海の幸として使われている。
上州名物のお切り込みや焼きまんじゅうをフランス料理に昇華させた創作料理も出され、出席者から大好評だった。



