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【聞きたい 大森昭生学長▶2】
2026年から文理総合大学に

2025.05.18

【聞きたい 大森昭生学長▶2】
2026年から文理総合大学に

 全国796大学を対象にしたAERAムック「大学ランキング2026」で、「教育面で注目」ランキング6位となった共愛学園前橋国際大。2026年4月には新たに「デジタル共創学部」を設置、文理総合大学となる。今春の入学生は過去最多。地方の大学が苦戦する中、躍進する理由は何か。

生き抜く力を育む大学

――前橋国際大の現状について教えてください。

 今春の入学者は過去最多の367人となり、在学生も1300人を超えて過去最多となりました。地方にあっても、学生の学びを充実することで選ばれる大学になっています。

 大学に求められる役割が変わっています。専門知識を持った人材を育てるのが昭和の大学でした。いまは専門知識はもちろん、それに加え、予測困難な時代に生き抜く力を育むことが使命となっています。

――具体的にはどんな力が求められるのでしょう。

 卒業のときに身に付く力、ディプロマ・ポリシーと言いますが、本学は主体性とか、コミュニケーション能力を4年で身に付けられるよう、「共愛12の力」を設定しています。

 専門知識は教室の中で身に付きますが、教室では学べないものもある。地域や海外にどんどん出て行って実践的な取り組みをしながら生き抜く力を身に付けてもらいます。半年間、学校に来なくても単位が取れるようにしています。学修成果を可視化する仕組みも文科省の好事例に選ばれています。

――そのあたりが、高校生に選ばれる理由なのでしょうか。

 高校が「探究」の学びを始めましたが、うちの学びと非常に親和性が高い。その辺も大きいですね。

 教職員や学生が高校に出向いて探究のお手伝いをしたり、群馬の特産を使った商品化もしています。高校生がそういうことをもっとやってみたいと、入学の動機にしてくれる例があります。

 親御さんや高校の先生が「前橋国際大はいいよ」と薦めてくれるようになりました。

▲高校生に選ばれる理由を語る大森学長

デジタル人材育成に力

――2026年4月には新たにデジタル共創学部が誕生しますね。

 はい、現在、文部科学省に対して設置申請中です。新しい最先端の校舎の建築も始まりました。

本学はこれまで文系大学でしたが、文理総合大学になります。同時に、幼稚園教諭と保育士を養成するコースを新設し、情報・経営コースはビジネスを中心に学ぶ経営コースに生まれ変わります。

 新学部では今年4月からデジタル共創研究センター長を務めている國領二郎先生に教授として指導しいただきます。日本のDX化を牽引してきた方であり、その知見は他では得難いものがあります。

 加えて、群馬イノベーションアワードの審査委員長を11年され、前橋市デジタル田園都市国家構想のアーキテクトも務められた。前橋のデジタル分野の先進的な取り組みに可能性を感じ、本学に来ていただいた。まさに、「お宝」です。国領先生がいるからと集まってくれる優秀な教授陣もいます。

▲新学部を牽引する國領氏

――デジタル共創学部ではどんなことを学ぶのですか。

 新学部の目的はデジタル技術を活用して他者と共にWell-Beingな社会を創造できる人材の育成です。学生全員が「DX領域」を基盤として学び、そのうえで自身の関心や進路に合わせて選択できる3つの領域を設けています。

 1つはICTの専門家を育成する「ICT領域」。システムエンジニア、ネットワークエンジニアといったデジタルの専門家となるデジタル技術を発展、進化させる人材です。

 2つめは「マネジメント領域」。すべての職種、会社でデジタルを理解できる人材は欠かせません。特に地域産業界のDXは待ったなしです。さまざまな分野で活躍の場があります。

 3つめは食や健康をテクノロジーで支える人を育てる「Well-Being領域」です。フードテックは世界の潮流であり、群馬県は自動車産業に次いで食品産業が盛んですから、県内企業から求められる人材となるでしょう。

▲デジタル共創学部のキャンパス

――前橋市には大手IT企業が拠点を置き、「ITのまち」になりつつあります。企業からの期待も大きいでしょう。 

 実は企業との連携も進めていて、アクセンチュアからは客員教授を招く予定です。他にも多くの企業と共同で実践的な教育プログラムを用意します。就職面でも、すでにたくさんの企業からご期待を寄せていただいています。

 本学が前橋市にあることのメリットを生かし、グローバルでもローカルでも活躍できるデジタル人材を輩出していきます。

共愛12の力

 ディプロマ・ポリシーに基づき、学修を通じて育成する力として「共愛12の力」を設定、4つの軸ごとに分類している。(1)識見①共生のための知識②共生のための態度③グローカル・マインド(2)自立する力④自己を理解する力⑤自己を抑制する力⑥主体性(3)コミュニケーション能力⑦伝え合う力⑧協働する力⑨関係を構築する力(4)問題に対応する力⑩分析し、思考する力⑪構想し、実行する力⑫実践的スキル。