【前橋まちなか新聞▶︎】父から息子へ 味の継承

前橋スズランのすぐそばにある「G-Base」は昨年オープンしたばかりのステーキハウス。上質な赤身に控えめの霜降りが入った特選牧草牛のリブアイロールや、その旨味の強さから牛肉と錯覚してしまうお客さんもいるという県産のブランド豚などが楽しめる。そして極め付けはディップ必須のオリジナルステーキソース。胡麻と酸味の効いたソースに食欲が爆発する。「父から料理を教わったことはなく、味を記憶するようとにかく舌を鍛えられてきた。」と言う店主、佐藤史隆さんの前職は介護一筋。飲食業とは無縁だったが昨年亡くなった和食料理人の父、尚信さんが闘病中にぽろりとこぼした「俺の味をお前に継承したかった」という言葉が転職を決意させた。尚信さんのその長い料理人生の中で完成させた秘伝のソースは、酸味の効いた胡麻ベースのソース。史隆さんは旨み成分の酸味がない肉に着目し、尚信さん監修のもとステーキソース開発に励んだ。闘病中の体に鞭を打ち親子二人三脚でソースを完成させた頃、店舗のオープンを待たずして尚信さんは息を引き取った。尚信さんが残したこのソースは、史隆さんによって多くの人の舌に刻まれていくだろう。味の継承は終わらない。

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