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雨に濡れ透明になる花
谷川岳で見られる珍現象

2024.07.15

雨に濡れ透明になる花
谷川岳で見られる珍現象

雨に濡れると花びらが透明になる希少な高山植物、サンカヨウ(山荷葉)をご存知? 普段は白いかれんな花を咲かせるが、長時間にわたって雨が降ると花びらが透けて見える。別名「スケルトンフラワー」。谷川岳一ノ倉沢を70年にわたって訪れている前橋市内のジャズ喫茶オーナー、根岸幸一さん(80)が今年も愛用のカメラに収めてきた。

谷川歴70年の根岸さんが撮影

サンカヨウは標高が高く、冷涼な山地に自生するメギ科の多年草。自生するのは世界的に珍しく、谷川岳のほか、尾瀬ケ原や志賀高原で見られる。

草丈30㌢~70㌢で花径2㌢ほど。6枚の花弁を持つ花を数輪固まって咲かせる。ハスの葉を意味する荷葉の通り、葉はハスのように大きい。

 

▲一ノ倉沢の奥に自生する

開花期は5月から7月にかけての1週間ほどと短い。

白い花が透明になるのにはいくつかの自然条件が重ならなければならない。開花時に長時間にわたって降雨が続き、低温高湿になったときが透明になる確率が高い。雨が強すぎると花が散ってしまう。

透明に見えるのは雨の水分が花の細胞に入り、光が乱反射しにくくなるためとされている。

▲普段は白い花

▲雨に濡れると、このように透き通って見える

▲花が散るとブルーベリーのような実がなる

子供の頃から谷川岳に登っていた根岸さんは30年ほど前からもう一つの趣味であるカメラを手にサンカヨウやシラネアオイといった高山植物の撮影を楽しんでいる。

「店の定休日の火曜しか谷川に行けない」根岸さんにとって、サンカヨウの透明の花を写すのは「極めて幸運」と撮影成功を喜んでいる。

▲一ノ倉沢のシラネアオイ

「若いときは上へ上へと目指し花には興味がなかったが、いまは足元をゆっくり見ている。『優しい谷川岳』を楽しんでほしい」と話している。ただ、優しいと言っても危険は潜んでおり、「必ずガイドさんや現地をよく知った人と一緒に行って」と注意も忘れない。

根岸さんが経営するジャズ喫茶「木馬」では高山植物の写真を見ることができる。

店舗情報

ジャズ喫茶 木馬

お問合せはこちら
027-231-6520
住所 前橋市下小出町2-1-12
営業時間 11時30分~20時
定休日 火曜