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新たな朔太郎像に出会える「第51回朔太郎忌」
13日、前橋市民文化会館で
2023.05.02
51回目を迎える朔太郎忌が、「みんなまだ朔太郎に負けている」という挑発的なタイトルで、5月13日開催される。第一部の対談にはミステリー作家の北村薫さんが登壇、第二部のリーディングシアターには、俳優の渡辺大さん、窪塚俊介さんが登場、今年も新たな朔太郎の魅力にふれられる機会となる。(取材/中村ひろみリポーター)
いまだに「みんなまだ朔太郎に負けている」
1963年5月11日にはじまる朔太郎忌は、朔太郎の偉業を讃え、多くの人に朔太郎を知ってもらうための催しで、毎年、5月11日の命日前後の土日いずれかに開催されている。
「みんなまだ朔太郎に負けている」というタイトルは、朔太郎死後の1949年『文芸往来』に掲載された座談会「若き詩人のために」における詩人・小野十三郎の発言がもととなっている。
後進の詩人たちへの激励の意味合いだったが、昨年度、全国53施設で展開された「萩原朔太郎大全2022」を通して、あらためて朔太郎のすごさ、新しさが再認識された今、小野の言葉が現在も有効であるところから、タイトルに生かすこととなった。
謎解きのように朔太郎にふれる
第一部の対談に登壇する作家・北村薫さんは朔太郎の詩を独自の視点で解明している。たとえば、「天景」という詩に「四輪馬車」という単語が出てくるが、これは「よんりん」「よりん」「しりん」と人によって読み方が変わる。北村さんは作品の中で、この朔太郎の不思議な表現をミステリー作家らしい考察によって「よりん」と読むのではないかと分析している。また、自身の小説の中には、広瀬川沿いの前橋の風景が描かれた作品もある。
対談相手となる作家で詩人の松浦寿輝さんは、萩原朔太郎研究会の会長でもあり、朔太郎の詩の中では、探偵が登場する「殺人事件」を好きな詩のひとつにあげている。
対談では、朔太郎ファンの二人が「謎を解く」ように朔太郎の詩をひも解いてくれるだろう。
刊行100年を迎えた詩集『青猫』をめぐるリーディングシアター
第二部のリーディングシアターは、朔太郎の第二詩集『青猫』をテーマとした「彼が青猫だった頃」(脚本:栗原飛宇馬、演出:生方保光)。『青猫』に大きな影響を受けた小説家・堀辰雄と同詩集を愛する架空の青年・青根康二郎らが、戦中・戦後の時代をとおして、朔太郎の詩の魅力を伝える。
マドリードとアムステルダムふたつの映画祭で外国語映画部門最優秀主演男優賞(2018年)に輝いた渡辺 大さんが堀辰雄を、ドラマ「教場」や「イチケイのカラス」に出演し、映画や舞台でも大活躍の窪塚俊介さんが、青根康二郎を演じる。
毎年出演の萩原朔美文学館館長と、声優・柳沢三千代さんが古書店の夫婦役で、昨年度はじめて前橋文学館リーディングシアターに登場した大島政昭さんが堀の親友である神西清をモデルに創作された寺西清役で、そのほか高崎商業高放送部・加藤汐音さん、劇団ザ・マルク・シアター代表・大月伸昭さんが登場する。
担当する前橋文学館の松井貴子学芸員は「今年の朔太郎忌は、二部構成で朔太郎の言葉の魅力、口語自由詩の確立者としてゆるぎない評価を得た核心に迫ります。朔太郎の詩は、暗いと思われる方も多いと思いますが、どこか根底にあっけらかんとした明るさがあるよう感じています。イベントを通して、多くの方に朔太郎の新しい魅力を発見していただきたいです」と来場を呼び掛けている。
第51回朔太郎忌
みんなまだ萩原朔太郎に負けている−『青猫』『蝶を夢む』刊行100年
日時 :5月13日(土)13時30分開演(12時30分開場)
会場 :前橋市民文化会館(昌賢学園まえばしホール)小ホール(前橋市南町3₋1)
入場料 :1,000円
定員: 600名
第1部 対談「私の探偵と朔太郎」
出演:北村薫、松浦寿輝
第2部 リーディングシアター「彼が青猫だった頃」
脚本:栗原飛宇馬 演出:生方保光(劇団ザ・マルク・シアター)
出演:渡辺 大、窪塚俊介、柳沢三千代、萩原朔美、大島政昭、大月伸昭、加藤汐音
チケット申込・予約方法
①前橋文学館窓口にてチケット購入
②WEB専用ページより申込
③前橋文学館へ電話(027-235-8011)で申込
・②、③は会場窓口で当日精算(12時~)
・全席自由席、座席指定不可
・チケット半券は、5月20日(土)まで前橋文学館観覧券として利用できる
問合せ
朔太郎忌実行委員会事務局(前橋文学館内)
- お問合せはこちら
- 027-235-8011
住所 | 前橋市千代田町3-12-10 |
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