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朔太郎没後80年記念映画「天上の花」
前橋文学館で全国初公開

2022.11.19

朔太郎没後80年記念映画「天上の花」
前橋文学館で全国初公開

前橋市出身の詩人、萩原朔太郎の没後80年を記念した映画『天井の花』の試写会が11月19日、前橋文学館で開かれ、全国で初めて公開された。朔太郎の長女、萩原葉子の小説『天上の花-三好達治抄―』が原作。1966年の発表から半世紀以上の時を経て映画化された。前橋シネマハウスで来年1月7日から上映される。

三好達治と朔太郎の妹の愛憎描く

映画は朔太郎を師と仰ぐ三好達治と朔太郎の美貌の妹、慶子との愛憎を描いた。貧乏書生と侮られた三好は慶子との結婚をあきらめ、失意の中、佐藤春夫の姪と結婚するが、夫と死別した慶子と再会すると妻子を捨て結ばれた。東京に空襲が迫り、越前三国でひっそりと暮らす二人を襲う過酷な生活、奔放な慶子への一途な愛と裏返しの憎しみに三好は心をむしばまれていく。

主演・東出さん、朔美さんも出演

三好を東出昌大さん、慶子を入山法子さん、朔太郎を吹越満さんが演じる。朔太郎の孫である前橋文学館館長の萩原朔美さんも北原白秋の弟の出版社社長役で出演している。

全国で12月9日から順次公開されるのに先立ち、前橋文学館で試写会と舞台挨拶が行われ、萩原館長と監督の片嶋一貴さん、盲目のあんま役を演じた落語家の林家たこ蔵師匠が映画の見どころや裏話を披露した。

▲映画製作の裏話も披露。写真左から萩原館長、たこ蔵師匠、片嶋監督

萩原館長は子供のころに三好達治と何回も会い、「詩人らしく、凛々しく、けんか早い男だと感じた」と印象を語るとともに、「自分はワンシーンしか出ていない」と監督に文句を付けて笑わせた。

片嶋監督は「三好達治が主人公だが、内なる朔太郎と戦っていく、この地と縁の深い作品。大スター、朔太郎を題材にできてうれしい」と強調。萩原館長と飲んだとき、「『人を憎むほど愛したことはあるか』と聞かれ、『ぼくはありません』と答えた」と内輪話を暴露した。

▲『アジアの純真』『いぬむこいり』などの作品を手掛けてきた片嶋監督

三好役の東出昌大さんに殴られる役で出演した、たこ蔵師匠は「2㍍10㌢くらいある役者で怖かった」と笑いを取りつつ、目の不自由な知人に教わり白杖の付き方を習うなど真摯に役作りにあたったと振り返った。

▲飄々と語るたこ蔵師匠

前橋シネマハウスで1月7日封切り

前橋シネマハウスは1月7日から27日まで『天上の花』を上映する。料金は一般1800円、学生1400円、60歳以上1100円。