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「夢を持ち続け、突き進む勇気を」
丸亀製麺の粟田社長が講演

2024.05.13

「夢を持ち続け、突き進む勇気を」
丸亀製麺の粟田社長が講演

群馬イノベーション会議が5月13日、前橋市内で開かれ、うどんチェーン「丸亀製麺」を展開するトリドールホールディングス社長兼CEOの粟田貴也さんが講演した。起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2024」のキックオフイベント。GIA実行委員長のジンズホールディングスCEO、田中仁さんとのトークセッションもあり、うどん、眼鏡という単一商品で世界展開している2人は会場に詰め掛けた起業家や起業家予備軍に向かって、「夢を持ち続け、突き進む勇気を持とう」(粟田さん)、「本気で成長したいと思えば、ここにいる一人一人に無限の可能性がある」(田中さん)と熱いエールを送った

ものではなく体験価値を売る

「“もの”から“体験”へ 丸亀製麵WAY 創業ストーリー」と題した講演で、粟田さんは自身の実業家人生を振り返りながら、「ものを売るのでなく、体験価値を売るのが丸亀製麵の強み。非合理だけど、他社が追随できず、ブルーオーシャンが広がる」と訴えた。

トラック運転手として働いて資金を貯め、生まれ故郷の兵庫県加古川市で1985年、23歳で焼鳥店を開業したのが起業の第一歩。「自社の強みがない」と不安を抱えていたとき、父親の故郷、香川県丸亀市で行列のできるうどんの製麺所を見て、「お客さまは目の前でできたてを食べる体験、感動を楽しんでいる。人生が変わった」と大きな転機を迎えた。

▲最初の夢は3軒の焼鳥店だったと話す粟田さん

ショッピングモールのフードコート内の狭い厨房でも、「店内で製麺し目の前で作って売る」体験価値にこだわり、大型の飲食チェーンが省力化に舵取りをする中でも、その姿勢はぶれなかった。

全都道府県に出店するとともに、10の国と地域に進出した。海外1号店となったハワイの店舗は2011年の開店以来、世界1の売り上げを記録しており、「体験価値は海外の人にも共感できる」と強調した。

地域づくりや環境問題にもふれ、社員の1人が瀬戸内海の島に移住していることも紹介した。「『食の感動で、この星を満たせ。』がスローガン。一番大事なエンジンに火を点けることが重要で、働く人の幸せが成長の源泉になる」と話し、講演を結んだ。

人材が組織を成長させる

田中さんとのセッションでは、ともに経営する会社が急成長したことから人材確保が話題となった。粟田さんが「プロパーと新たな人材によるハイブリッドの組織が成長を生んだ」と説明すると、田中さんは「トップがどうしたいか、熱を発信し続けることで、いい人材と巡り合える」と応じた。

▲「40歳くらいのとき、商売を辞めようかと考えた」と語る田中さん

▲「褒めて人は伸びていく」が自論の粟田さん

会場に若い飲食店経営者が多いことから、田中さんから成長のためのアドバイスを質問されると、粟田さんは「自分は臆病。決断するまでうじうじ考えるが、何とかしなくてはと思うと、急に強気になり、火事場のバカ力が出てくる」と説明した。

GIA、12月にファイナルステージ

12回目となるGIA2024は12月14日、日本トーターグリーンドーム前橋でファイナルステージを開く。ビジネスプランとベンチャーの2部門でビジネスプランや事業実例を募集する。

トリドールホールディングス

1985年、焼鶏居酒屋「トリドール三番館」を兵庫県加古川市に開店する。2000年に「丸亀製麵」1号店を同市に出店、2011年に全都道府県への出店を達成する。焼きそば、ラーメン、釜飯と焼き鳥、天ぷらなどの専門店を国内外に展開、総売上高は1500億円を超える。本社は東京都渋谷区。