play
遊びたい
「TEAM JAOS」いざバハ参戦
ドライバー・能戸知徳さんに聞く
2022.11.10
群馬県を拠点とするオフロード・モータースポーツチーム「TEAM JAOS」は11月15日、メキシコのバハ・カリフォルニア半島で開幕する北米大陸最大のレース「バハ1000」に初参戦する。1967年に始まり、今年で55回目の歴史あるレースに地方のチームが参戦するのは極めて異例。チームの意気込みを3回に分けて紹介する。第1回はドライバーを務める前橋市在住の能戸知徳さん。
「完走者全員が勝者」
―8月にモーターランド野沢、9月に旧浅間サーキットと2度にわたりシェイクダウンテストを行いました。車両の調子はどうでしたか。
初めての車両をレースに出場するために、安全面などの対策を施した仕様で仕上げましたが、予想以上の性能に驚きました。初年度でまだ手探り状態ですが、上々の仕上がりだと感じています。
―バハは2015年に“代打”で出走しました。その時の印象を聞かせてください。
その前、12歳のときに観戦ツアーに行きました。11歳からレースに出ていましたので。バハはそのときから、そしていまも憧れです。
15年はドライバーに誘われ、メカニックとして同行しました。途中でドライバーが体調を崩して、交代したのです。マシントラブルが起こり、走ったのは200マイルだけでしたが。
それでも、世界の舞台を初めて肌で感じることができました。行ったことはありませんが、まるで映画の中の「月」のような印象を覚えた記憶があります。
―みなさんが憧れるバハって、実際どんなレースですか。
北米大陸最大規模のロードレースといわれています。1台の車両で山岳地帯や砂漠、岩場が続く全長1000㍄(1600㌔)を6日間かけて走り切ります。世界各国から250ほどのチームが参加し、半数以上が途中棄権となる過酷なレースです。「完走者全員が勝者」と讃えられます。
われわれが参加するのは「市販車・無改造」部門で、車両は「レクサスLX600」。エンジンには手を付けないが、サスペンションやマフラー、フェンダーを製作します。さらに、ドライバーの安全を確保するため、車内をパイプで補強します。
―憧れの舞台に7年ぶりに戻ってきますね。今回は“先発”です。レースを直前に控え、いまどんな心境ですか。
とても楽しみにしているというのが第一で、その次は不安要素や懸念事項がたくさんあるため、心配だ。という心境です。
―ずばり目標は?
まずは完走すること。しっかりとマシンをゴールまで運ぶため、無理は禁物。Steady(安定した)な走りに徹したいと思います。
―これからの夢を聞かせてください。
まずは今年、幼少期からの夢であったバハへの出場がかなうことになります。その後はもっと有名なドライバーになり、応援していただいているみなさまに恩返しがしたいと思います。
「有名な」という表現がその他のレースに出場することなのか、順位を求めることなのかはまだ現時点では理解できておりません。恐らく、バハ参戦後に何か見えてくるかもしれません。
ラリーは経験がものをいうので、サーキットと違い40代後半が一番結果を出せるといわれています。貴重な経験を積ませていただき、会社や応援していただいているみなさんに恩返しができればいいなと考えています。
のと・とものり
1988年、北海道北見市生まれ。11歳からオフロードレースに出場した。国内外のラリーで活躍。2015年にジャオスに入社、TEAM JAOSのドライバーを務める傍ら、開発部に所属し商品開発にあたる。前橋市在住。