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アーツ前橋で2つの展覧会
新収蔵展と女性アーティスト展

2025.07.18

アーツ前橋で2つの展覧会
新収蔵展と女性アーティスト展

 アーツ前橋は7月19日から、所蔵作品を集めた2つの展覧会を開き、未公開作品を含め32人の84点を公開する。1階ギャラリーでは2022年から2024年までの3年間に収蔵した作品を展示。地下1階は女性アーティストを特集する。8月26日まで。公開に先立って7月18日に内覧会があり、3人のアーティストと出原均館長、学芸員が見どころを解説した。

7月19日開幕、84点公開

 新収蔵作品展は6人のアーティストの絵画、書、版画、木彫など16点を展示する。

 内覧会に出席した道又蒼彩さんの作品は竹和紙を使った縦145・5㌢×横357・6センチの巨大版画2枚組。「階段を下りていくことは簡単だが、階段を上がることは困難である」との着想を基に学生時代から取り組んでいる「カフカの階段」シリーズで、初の大作に仕上げた。

 道又さんは「(階段は)上の方がいいと思っていたけど、最近は下の方が過ごしやすいかもと思うようになった」と笑わせ、自由な鑑賞を呼び掛けた。

▲道又さんと作品

 黒と白の諧調で表現しモノクロ写真のような雰囲気を醸し出す銅版画、メゾチントを制作する前橋市在住の多胡宏さんの作品は3点。『星の浮く風景:麦とトウモロコシ』は「世界人口が増える中、地球で栽培できる穀物は限界がある」現状を表現、地球環境に警鐘を鳴らしている。

▲作品を解説する多胡さん

 新収蔵作品展ではこのほか、前衛書道の先駆けだった大澤竹胎(故人)の書とこれからも活躍が注目される森本啓太さん、木津本麗さん、松山智一さんの油彩やアクリルを展示している。

▲松山さんのアクリル

女性26人の絵画や映像作品

 女性アーティスト特集はアーツ前橋が所蔵する作品の作者80人中35人が女性と多く、最近の活躍が目覚ましいことから企画した。ただ、出原館長は「女性特有とか、女性らしいとかを強調するつもりはまったくない」とくぎを刺す。

 「女性が描く女性」「ケア」など6つのテーマで作品を分類、26人の68点を展示する。

▲目が力強い片山真理さんの作品

▲三輪途道さんの立体2作品

 第3章「風景から環境」にある前橋市出身の岡田菜美さんの大作は「実際にはないけど、既視感のある風景」を描いている。技法について、「アクリル絵の具を何層にも重ね塗りし、削り出す作業を繰り返す。削り出すことによってなくなってしまった記憶を浮かび出すことができる」と解説する。

▲制作に込めた思いを語る岡田さん

 第6章は「コレクションを越えて」と題して、2人のアーティストが参加する。

 白井ゆみ枝さんは図案にとらわれず手指の動くまま、心の向くままに糸やビーズを縫い込んだ刺繡を出品している。

 看護師でもある津野青嵐さんは寝たきりとなった祖母のために食器が飾られたテーブルと一体となった衣服を制作、祖母が出演する映像作品とセットで表現する。

▲津野さんの作品。映像で祖母が映る

新収蔵展・コレクション+女性アーティスト、それぞれの世界

新収蔵作品展
【会 期】 2025 年 7 月 19 日(土)~8 月 26 日(火) 39 日間
【会 場】 アーツ前橋 ギャラリー1
【開館時間】 10 時~18 時(入場は17 時 30 分まで)
【休 館 日】 水曜日
【観 覧 料】 無料

コレクション+ 女性アーティスト、それぞれの世界
【会 期】 2025 年 7 月 19 日(土)~8 月 26 日(火) 39 日間
【会 場】 アーツ前橋 地下ギャラリー
【開館時間】 10 時~18時(入場は17時 30 分まで)
【休 館 日】 水曜日
【観 覧 料】 一般 500 円/学生・65 歳以上・団体(10 人以上)300 円/高校生以下無料
※1 階ギャラリーの新収蔵作品展は観覧無料
※障害者手帳を持っている人と付き添いの1 人は無料
※7 月 21 日(月・祝)「海の日」、8 月 9 日(土)「多様な学びの日」は無料