interview
聞きたい
答え探しを読者に託す
元前高主将、川北さんが講演
2024.11.10
『昭和高校球児物語-前高 完全試合のキセキ-』の著者で、甲子園史上初の完全試合を達成した群馬県立前橋高校野球部主将、川北茂樹さんの講演会「あの奇跡の試合を」が11月9日、前橋市立図書館で開かれた。川北さんは完全試合の「奇跡」と「軌跡」について、「読む人に答えを出してもらえればいい」と語り、執筆の最大の動機を明らかにした。
何で完全試合を達成できたか
川北さん率いる前橋高校は1978(昭和53)年3月、第50回選抜高校野球大会に出場、1回戦の比叡山高校戦で完全試合を達成した。川北さんは初回に先頭打者としてヒットを放ち、チームを勢いづけた。
講演では松本稔投手をはじめとするナイン、中学時代からの先輩、中林毅さん、ライバルであった桐生高校のエース、木暮洋さんといった運命の人たちからの後押しを受けて回顧録を出版した経緯を語った。
本を通して伝えたかったこととして、「何で甲子園に行けて、何で完全試合ができたか。四十数年間、聞かれ続けて答えられなかった答えを出したかった。時系列に表すことで追体験してもらい、読む人にその答えを出してもらえればいいと考えた」と答え探しを読者に託したことを明かした。
続いて、比叡山高校が翌年夏の甲子園で前橋工業高校に勝ち、インタビューを受けた監督が声を押し殺して泣いた場面をテレビで見て、もらい泣きしたことを振り返り、「何で泣いたのか、言葉に整理することができ、エピローグで書いた。同じ思いで一生懸命やってきたことを共感したがゆえに泣いた」と貴重な対戦相手となった比叡山ナインを讃えた。
真空ジェシカのネタの秘密
講演後の質問では、川北さんの中学時代の恩師である大宮正幸さんが一番バッターで登場、「川北シゲキ君。あなたは野球という筋書きのないドラマの魅力を考えさせてくれたシゲキ(刺激)をこの本で与えてくれた」と教え子を激励した。
川北さんの長男で人気お笑いコンビ「真空ジェシカ」のボケ、川北茂澄さんの話を振られると、「野球を始める年齢のころキャッチボールをしたが、センスがなかった。ただ、毎日、四コマ漫画を描き続けたのがネタ作りに役立っている」と努力を認めた。
『昭和高校物語-前高 完全試合のキセキ-』
『昭和高校球児物語』は前橋新聞「me bu ku」Web版で2023年2月から6月まで、77回にわたって掲載したものを加筆修正して2024年3月に発行した。A5判、317㌻。2200円(消費税込み)。
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