interview

聞きたい

前橋テルサ 解体の公算
跡地はイベント広場に

2024.08.20

前橋テルサ 解体の公算
跡地はイベント広場に

 前橋市中心街にある閉館中の複合施設「前橋テルサ」が解体される公算が大きくなった。跡地はイベント広場として活用する計画。再開する場合、改修費に加えランニングコストが高く、将来にわたって市の負担が重くなることが見込まれる。さらに、中心街で開くイベントの会場となっている中央イベント広場が市街地再開発事業に伴い数年後に閉鎖されることから、中心街で代替地が必要となっており、テルサの土地が有力候補に浮上している。

中央イベント広場の代替

 2023年3月から閉館している前橋テルサをめぐって、前橋市は民間への土地・建物の売却が不調に終わって以降、前橋商工会議所と連携して管理、運営にあたる方針を決めた。特に再開を求める声が強いホールについては早期の再開を目指してきた。

 しかし、建物の老朽化が激しく、ホール再開には20数億円かけても5年から10年程度しか運営できず、ホールを稼働するために全館空調しなければならないなど年間4~5億円の費用が派生することが判明。ホール以外の各施設も再開には多額の費用が掛かり、赤字を生み出すのは必至なことから、再開を断念したとみられる。

▲中心街のシンボルの一つだった前橋テルサ

▲コンサートや講演会に利用されたホール

 一方、再開発により中央イベント広場は隣接する中央駐車場とともにスズラン前橋店などが集積する商業・オフィスゾーンとなる計画。事業の進捗によるが、数年後には使えなくなる。

 地元商店街は中心街でのイベント開催の継続を要望しており、雨天でも使える屋根付きのイベント広場の造成を求める声も出ている。

▲週末を中心に開かれるイベントでにぎわう

 前橋市は市議会や地元に解体の方針を伝え、理解を求めている。

 実現に向けては、巨額に膨れるとみられる解体費の税金投入に対しての市民の理解とともに、“ホール難民”問題への取り組みが課題となりそうだ。

 前橋ではテルサのホールが使えなくなったのに加え、ベイシア文化ホール(県民会館)が2025年4月以降のホール予約受け付けを停止しており、音楽やダンスなどの発表会、講演会、式典の利用がますます困難になる情勢。県民会館や他の施設の活用について、市の動きが注目される。

▲存廃問題が浮上している県民会館

前橋テルサ

 1992年、前三百貨店があった場所に前橋勤労者総合センターとして建設された複合施設。地上12階、地下1階。ホテル、プール付きのフィットネス、多目的ホール、大小の会議室、レストランが併設された。外観はレンガ調で、大正ロマンを醸し出す。雇用・能力開発機構と共同保有していた前橋市が2004年に買収した。前橋市まちづくり公社が運営、市は施設維持費用として年間2億5000万円を負担。2023年3月の閉館以降も施設の維持管理に年間6000万円を支出している。