小松屋
蕎麦前で一杯飲る幸せ

夏の黄昏時。馴染みの蕎麦屋で一杯飲りますか。粋ですね。こちらの店はつまみとなる蕎麦前が豊富にあり、つい酒に手を出てしまいます。

ビールを頼むと、お通しが付いてきます。この日はモロキュウ。こういう気遣いがうれしいですね。

すぐに板わさが登場します。赤く染まったカマボコは板１枚分ほど。ワサビを付けて。うん、旨い。蕎麦屋さんのつまみは種物に使う食材を使いますので、素早く提供されるのがいいですね。

お目当ては鴨ねぎ焼きです。鴨肉を青ネギと一緒に焼き、蕎麦汁で味付けした一品。鴨南蛮や鴨汁せいろに使う本鴨とか。弾力があり、噛むほどに肉の旨みが広がってきます。七味も掛けましょう。後々の展開がありますので、鴨は少し残しておきます。ビールが終わったので、冷酒をいただきました。

天ぷらは海老天、かき揚げの単品から盛り合わせまで各種あります。お願いしたのは海老天と野菜天２個のセット。熱いうちに海老天からいただきます。野菜はシメジとカボチャ。揚げ立ては最高ですね。

店内にはテレビがなく、雑音がありません。持ち込んだ単行本を広げながら贅沢な時を過ごします。

２本目の酒を干したら、蕎麦で〆ますか。あまり長居するのは野暮ってもんです。

もりをいただきます。細打ちのきれいな蕎麦です。前より細くなった気がします。濃口の汁に少しだけ付けて豪快に音を立てて啜ります。

後半は残しておいた鴨とネギを汁に投入します。鴨せいろの出来上がり。鴨から出た脂が汁を素晴らしく美味しくしてくれるんです。蕎麦湯をいただいて席を立ちます。夜風に当たって家路につきましょう。