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後世に繋げる京友禅の世界
ガレリアで初の着物展示、4日から
2026.09.04
創業151年の呉服店「小川屋」は9月4日から6日まで、まえばしガレリアギャラリー2で「森尻春司の着物の世界 非効率の美学」を開く。会場では、京友禅の着物デザイナー、森尻春司さんが手掛けた反物10点、帯3点、絵羽柄の着物2点を展示する。幾重もの職人の手仕事を重ねて生まれる、色と文様の世界を間近で楽しめる。まえばしガレリアで和装をテーマにした展示が開かれるのは今回が初めて。ガラス張りのギャラリーで、京友禅の繊細な美に触れてみたい。入場無料。
(取材/柁原妙子リポーター)
「手仕事」に対する畏敬
幅40㌢、長さ13㍍。技術の粋が詰め込まれた、幾何学模様が並ぶ美しいグレーの小紋。
ろうけつ染めと型染めの技法を組み合わせた贅沢なもので、「技法をたくさん使うとコストが跳ね上がるので、普通はしない」と森尻さん。
京友禅には手描きと型染めの二つの技法がある。どちらも分業制で、手描きであれば図案作成、下絵描き、糸目糊置き、色挿しなど約20の工程を、それぞれの専門職人が分担して仕上げる。森尻さんは、その職人たちに指示を出し、一つの作品にまとめ上げる「悉皆屋(しっかいや)」だ。オーケストラでいえば、指揮者のような役割を担う。
3年前からは、熊本の崇城大芸術学部の学生たちに、京都の職人の仕事場を案内している。
▲森尻さん
伝統の火を絶やすな
「小川屋」社長の伊藤大介さんは、職人の高齢化や廃業が進み、技術が次の世代に受け継がれなくなっている現状に危機感を抱いてきた。
その思いから森尻さんとともに始めたのが、京友禅の技術や職人の仕事を伝える「継承展」だ。これまで小川屋店内や前橋市芸術文化れんが蔵を会場に開催し、今年で7回目を迎える。
江戸時代に手描きで始まった友禅染も、現在はインクジェットプリンターによる染色が主流になった。染色工場ではインクジェットが広く使われ、手仕事による友禅は数%にまで減っているという。
「伝統技法で染めたものとプリンターで染めたものは、私たちが見ればすぐに分かります。染料とインクでは発色もまったく違います」と森尻さんは話す。
▲森尻さんの手による手描き友禅
職人の高齢化も深刻だ。若手と呼ばれる職人でも70代。森尻さんがこの世界に入った約30年前と比べると、職人の数は半分ほどに減ったという。
このままでは技術そのものが途絶えてしまう。森尻さんは本業の合間を縫って、それぞれの職人が持つ技術を自ら学び始めた。
同じ危機感を抱いていた伊藤さんとともに始めたのが、前橋での「継承展」だ。これまで小川屋店内や前橋市芸術文化れんが蔵で、京友禅の技法や職人の仕事を紹介してきた。
「前橋での取り組みをきっかけに、全国から技術継承をテーマにした展示会の声が掛かるようになりました」と森尻さん。熊本の崇城大との交流も、そこから生まれた縁の一つ。前橋で始まった取り組みは、全国へと広がりつつある。
▲森尻さんが糸目糊で輪郭を描き、色挿しをしている
今では、着物は多くの人にとって日常的に触れる機会の少ないものになった。
今回の会場となるガレリアはガラス張りで、外からも展示を見ることができる。着物に関心のなかった人にも、自然と目に留まる。伊藤さんは、それをきっかけに伝統工芸への関心が広がってほしいと願う。
「若い人が作品を見て、母親や祖母が着ていた着物にも、これほど多くの人の手が掛かっていたのだと思いを巡らせてもらえたらうれしい」
▲伊藤さん
森尻春司の着物の世界 非効率の美学
会場 まえばしガレリアギャラリー2(前橋市千代田町5-9-1)
日時 9月4日(金)〜6日(日)
10時〜18時30分
入場料 無料
作家在廊日は会期中全日
継承展2026
会場 小川屋(前橋市千代田町2-7-15)
日時 9月11日(金)〜15日(火)
10時〜18時30分
問い合わせ先
小川屋
- お問合せはこちら
- 027-231-6000
| 住所 | 前橋市千代田町2-7-15 |
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