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【まえばし 服と人▶1】
中心街で洋服と向き合い半世紀
「セレクトショップG」越野祐子さんの生き方
2026.01.17
地方の街からブティックが次々と姿を消している。装いは均質化し、選択肢は少なくなった。そんな中、前橋中心市街地で半世紀、洋服と向き合い続けてきた人がいる。大きなウィンドウに三体のトルソーが並ぶ店。季節ごとに、あるいはそれ以上の頻度で装いが変わる。いまでは珍しくなった「見せるウィンドウ」を持つブティックだ。店の名は「セレクトショップG」。かつてデザイナーとしてパリやニューヨークの展示会で活躍した前橋市在住、越野祐子さん(71)が営んでいる。
(取材/阿部奈穂子)
23歳からのファッションへの挑戦
▲これほど大きなショーウィンドウを持つブティックは市内では少ない
越野さんがファッションと関わり始めたのは23歳のときにさかのぼる。実家の花屋の仕事をしながら、文化服装学院の夜間課程に通い、学びを重ねた。
卒業後、前橋・千代田通りにブティック「Genre(ジェンル)」を開店。地方とは思えないほどスタイリッシュな店構えだった。当時は、店で販売するための洋服を自らデザインし、縫製会社に依頼して製品化していた。
▲千代田通りにあった「GENRE」
40歳からは「YUKO」というブランドを立ち上げ、デザイナーとして本格稼働。パリやミラノ、ニューヨークなど海外の展示会にも出展した。生地が生み出すエレガントな流れを大切にし、ベーシックを押さえながらもコンテンポラリーを忘れない。それがYUKOの服づくりだった。
10年間のデザイナー生活を経て、洋服をつくる側から、販売に専念する道へと舵を切ることに…。
▲当時のデザイン画
安くても安く見えない、その理由
2021年、67歳にして前橋・千代田町に開店したセレクトショップG。時代感を備えたアイテムを厳選して仕入れている。価格は抑えめだが、安くは見えない。
「仕入れの目利きができるから、安くても安く見えないものを選べる」と越野さんは言う。
▲セール期間中も、仕入れの基準は変えない
一つのブランドだけで店を構成することはしない。複数を組み合わせることで、装いに奥行きを出す。
洋服の立体を理解しているからこそ、お直しにも妥協がない。着方の提案まで含めて、一着が完成する。
「お客様が一歩入ってきた瞬間に、この人に何が似合うか、わかってしまうの」。その結果、「今日はあなたに売るものがないわ」と伝えることもある。売るために勧めることはしない。
▲お直しの針打ちにも余念がない
「洋服は、体型だけで決めるものじゃない。その人がどんな一日を過ごし、どんな立場で街に立つのか。そこまで想像して、初めて一着が決まる」と越野さん。
その姿勢に信頼を寄せる顧客は多い。
▲洋服を知り尽くしたからこその提案をする越野さん
71歳になったいまも越野さんは変わらず店頭に立ち、一着一着に目を凝らす。
目立つための装いではない。街に立ったとき、無理がなく、凛と見える服装が前橋の街に自然に増えていく――。それが、半世紀にわたり前橋で洋服と向き合ってきた越野さんの描く風景だ。
店舗情報
セレクトショップG
- お問合せはこちら
- 027-226-1175
| 住所 | 前橋市千代田町2-5-12 シーズポート101 |
|---|---|
| 営業時間 | 10時~19時 |
| 定休日 | 火曜 |


