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100円に詰まった夫婦の夢
60歳から始めたベーカリー
2025.11.14
文京町の住宅街に10月、小さなパン店「ベーカリー ムーン」が開店した。店内には40種類の無添加パンが並び、年内いっぱいすべて“100円”で提供する。店主の望月信一さんは60歳でパン職人に転身。妻の久美さんが接客を担い、夫婦で店を切り盛りしている。
(取材/阿部奈穂子)
朝4時に起き、パン40種焼く
信一さんの前職はトラック運転手だった。56歳のときに体を壊して退職し、「手を使って何かを生み出す仕事がしたい」と市内のパン店で3年間修業した。そして60歳を迎えた今年、自宅1階をリノベーションし、機材をそろえて念願の店を開いた。
▲店内に並ぶ焼きたてパン
開店は8時30分。仕込みはまだ空が薄暗い時間から始まる。生地をこね、食パンから惣菜パンまで次々と焼き上げていく。「4時起きも全然苦にならない」。運転手時代の生活リズムがそのまま職人の仕事に生かされている。
一方、妻の久美さんはグラフィックデザイナー。夜型だったが、早朝の仕込みに合わせて生活リズムを変えた。「最初は眠くて。でも、だんだん慣れてきて、今はお客様と話す時間が一番の楽しみです」と話す。
▲人気のパンたち。奥の丸型はおやき
店内には食パンや惣菜パンなど約40種類が並ぶ。すべて税込100円。「オープン記念と地域への恩返しの気持ちを込めて、年内いっぱいは100円で頑張ります」とご夫妻。
人気はスパイス香る焼きカレーパンと、外はパリッ、中はもちっとしたベーコンエピ。
高菜、チーズ、あんの3種類そろう「おやきパン」も評判だ。
▲税込で1つ100円です
無添加で手づくり、懐かしい味わい
パンはすべて安全性を重視して無添加。表面はふんわり、噛むと中からもっちりした粘りが返ってくる。華美な装飾はないが、粉の甘さがじわりと広がる“昔ながらのパン”。
会計後はセルフでビニール袋に詰めるスタイルで、気取らない雰囲気も魅力だ。
▲一度にたくさん購入する人も多い
「懐かしい味だ」と話す常連もいる。100円パンは年内までだが、早朝から焼く夫婦の仕事はこれからも続く。
▲自宅の一階を改装した店舗
店舗情報
ベーカリー ムーン
| 住所 | 前橋市文京町3-9-8 |
|---|---|
| 営業時間 | 8時30分~15時 |
| 定休日 | 日曜、祝日 |


