watch

見たい

吹奏楽シーズン到来 
前橋で11〜12月に公演相次ぐ

2025.10.31

吹奏楽シーズン到来 
前橋で11〜12月に公演相次ぐ

 晩秋から初冬にかけて、前橋市内で吹奏楽の響きが続く。昌賢学園まえばしホールや元気21にぎわいホールで、アンサンブルシエール吹奏楽団の第20回定期演奏会、恩師の三回忌にあわせたシンカイ・キネン・ウインドオーケストラの追悼公演、若手中心の彩葉吹奏楽団による彩り音楽祭が開かれる。世代を超えてつながる音が、まちに温かく広がる。
(取材/柁原妙子リポーター)

「アンサンブルシエール吹奏楽団」
"前商スピリッツ"は今も健在

 20回目の節目を迎える定期演奏会は、1部クラシック3曲、2部ポップス5曲で構成される。オペラの序曲、吹奏楽オリジナル、サンバ、ミュージカル・ソング、歌謡曲と、幅広いジャンルで聴衆を魅了する。

 記念の回も“いつも通り”。1部では恒例の過去のコンクール課題曲を、2部では人気企画「演奏会当日に誕生日の近い人を祝う生演奏」を行う。

 「注目してほしい曲は第1部の『白鳥の湖』。有名なバレエ音楽を抜粋し、吹奏楽ならではの迫力でお届けします」と副団長の中里美穂さん。オーボエの旋律やホルンの勇壮なユニゾンに加え、各楽器にも見せ場があるという。

▲アンサンブルシエール吹奏楽団の練習風景

 前身は前橋商業高吹奏楽部OBOGバンド。今回は19歳から50代までの54人が出演し、指揮は同校OBの山田考史さんが務める。

 昨年、創団25周年を迎えた。OBOG時代からのメンバーは3人に減ったが、その一人が団長の福島久登さんだ。「OBOGにこだわらず誰でも入れる一般バンドにしたこと、細く長く続けてきたことが長寿の理由」と語る。

 「いつか高齢になり引退したら、客席でシエールの演奏を聴くのが夢です」。その言葉どおり、仲間と奏でる音は、世代を越えて受け継がれていく。

アンサンブルシエール吹奏楽団 第20回定期演奏会

会場 昌賢学園まえばし文化ホール 大ホール(前橋市南町3-62-1)

日時 11月2日日曜 13時開場 13時30開演

入場料 無料

曲目 エルザの大聖堂の行列、バレエ音楽「白鳥の湖」より、魔法にかけられて、歌のアルバム新旧御三家ヒットメドレー(高校三年生、星のフラメンコ、恋のメキシカンロック、オレンジの雨、よろしく哀愁、ヤングマンほか) ほか

「シンカイ・キネン・ウインドオーケストラ」
当時の曲で恩師を追悼

 前橋市の中学校教員として吹奏楽の発展に尽力した新海弘光さん。その三回忌に合わせ、教え子や仲間たちが追悼演奏会を開く。この日のために特別編成された楽団だ。
 前橋四中、三中の教え子を中心に、群大生時代のベルジュラック木管合奏団の仲間、退職後に指導した前橋商業高の教え子、息子たちなど総勢64人。指揮は二中の教え子・山本佳弘さんと、三中の教え子・島崎数也さんが務める。

▲シンカイ・キネン・ウインドオーケストラの練習風景

 プログラムは1部クラシック4曲、2部ポップス6曲。すべて四中、三中時代に演奏した作品だ。実行委員長の渡辺義夫さんは「1部では昭和54年に四中、59年と61年に三中で演奏したコンクール課題曲と自由曲、計4曲に挑みます」と話す。このうち3曲は全日本で銀賞を受賞した名曲。昨年2月のメモリアルコンサートは準備期間が2カ月しかなかったが、今回は4月から月2回の練習を重ねてきた。

 2部は歌謡曲や洋楽、映画音楽、アニメソングなど。新海さんの長男・陽介さんがソロクラリネットを披露する曲もあり、「お父さんにそっくり」「先生が憑依したようだ」と感嘆の声が上がった。当時の練習を振り返れば、令和では“ちょっと不適切”とされる昭和の指導も、今は笑って語れる思い出だ。

▲教え子からなる実行委員と、新海陽介さん(左から3人目)

 新海さんは2年前の11月、77歳で逝去。前橋一中、県立前橋高、群馬大教育学部を卒業後、市内中学で音楽教員として勤務。吹奏楽部顧問として四中と三中を全日本吹奏楽コンクール全国大会へ3度導き、銀賞を受賞した。

▲在りし日の新海さん

シンカイ・キネン・ウインドオーケストラ演奏会 2025 〜恩師への思いを込めて〜

会場 昌賢学園まえばしホール 大ホール(前橋市南町3-62-1)

日時 11月30日日曜 13時30開場 14時開演

入場料 無料

曲目 嗚呼!、フェリスタス、歌劇「タンクレディ」序曲、飾りのついた四輪馬車、オー・シャンゼリゼ ほか

「彩葉吹奏楽団」
3人から50人までの多彩な編成で18曲

 創団6年目、平均年齢27歳。若さあふれる楽団が、アンサンブルと大編成の両方を楽しめるステージを披露する。

 1部は大編成のオープニングに続き、7チームによるアンサンブル12曲。2部は大編成で5曲を演奏する。指揮は稲毛信哉さん。

 「多くの世代に馴染みのある曲ばかりです。昭和100年を意識し、ヒットソングや刑事ドラマ、アニメソングなど懐かしいメロディも用意しました」と副実行委員長の米田裕貴さん。

▲石合さん(左)と米田さん

 副団長の石合美里さんは「アンサンブルチームは各楽器のレベルアップだけでなく、パートを超えた団員同士の交流も目的に自主的に組まれました」と話す。クラリネット、フルート、サクソフォンなどの同系チームのほか、ファゴット2本とオーボエ1本という珍しい組み合わせ、金管五重奏+カホンの混成チームも登場する。

 2020年、団長の加藤佑弥さんが2010年当時の前商吹奏楽部仲間に声をかけて結成。以来、演奏会や依頼演奏など幅広く活動してきた。「気づくと予定がいっぱい。大変ですが、その大変さも楽しむのが私たちのモットー」と石合さん。県民マラソンの応援演奏は昨年に続き、今年も大会から依頼され、正田醤油スタジアムで選手にエールを送る。

▲本番に向け、練習に気合が入る彩葉吹奏楽団

彩り音楽祭 2025

会場 前橋元気プラザ21 1階 にぎわいホール(前橋市本町2-12-1)

日時 12月6日土曜 13時30開場 14時開演

入場料 無料

曲目 英雄の証、海の見える街、ルパン三世のテーマ、ジャンボリミッキー、銀河鉄道999   ほか