interview
聞きたい
前橋の街 歩いてワクワク
クリエイティブ構想でシンポ
2025.08.23
群馬県庁とJR前橋駅を結ぶ約1・5㌔を自動運転バスと歩行、自転車で移動するトランジットモールとするクリエイティブ構想を市民と一緒に考えるシンポジウムが8月23日、前橋市中央公民館で300人が参加して開かれた。群馬県が主催した空間デザインの国際コンペで最優秀作品に選ばれた「稜線(りょうせん)がつなぐ まちづくり 前橋リッジライン」の詳細を紹介、車社会依存からの脱却を求められることになるクリエイティブ構想の進め方について議論した。
前橋駅-県庁間 夢の散歩
前橋リッジラインを提案した共同事業体の代表、マウントフジアーキテクツスタジオの原田麻魚さんがコンペで発表したパースを披露しながら、作品に込めた発想や思いを語った。
▲前橋リッジラインを解説する原田さん
完成後の前橋駅から県庁までを散策するように、現在のけやき通り、五差路、国道50号、県庁前通りと県庁前広場がどう変わるかを示した。
けやき通りは車道を現在の6車線から4車線に縮小、新たに自転車道や緑地を設ける。
歩道はここからなだらかなスロープで五差路に変わる新たな陸橋に繋がる。「五差路を最高な場所に転換したい」と車椅子も子供も通れるようにし、「赤城山がスパンと見られ、深呼吸できる特別な場所」とするプラン。下には屋外シアターや広場を造成、にぎわいを産み出す空間となる。
▲五差路はこんな風に変わるか
国道50号から県庁までは自動運転バスだけが通れる車道を残し、イベントを開いたり、自由に憩えるパークサイドのある空間となる。
「コンペで1番大切にしたこと」として、戦後復興で植えられたけやき並木を大事に生かしていく考えを強調。厄介な存在である落ち葉さえも子供が遊べる広場に利用する。
散策のゴールとなる県庁前広場は1万5000人を集客できるイベントを開けるマンモスグリーンエリアになるとともに、バスの乗り換えができるモビリティハブとする。
▲広場とモビリティハブとなる県庁
夢の散策を終えて、原田さんは「実現には、ヒト、モノ、コトを繋ぐ体制を作ることが必要。前橋だからできる」とプロジェクトの成功を願い、多くの市民と情報を共有し協働するためのワークショップを継続して開いていくと呼び掛けた。
2040年よりもっと早く
プレゼンテーションを受けて、国際コンペ審査委員の石田東生さんをコーディネーターにパネルディスカッションを行った。
カギを握る脱車依存社会の実現について、小川晶市長は「いつかは免許を返納しなければならない。歩いて楽しいね、公共交通は便利だね、と思えるきっかけにしたい」と述べ、前橋市から始まったグンマースの普及を目指す考えを示した。
審査委員長を務めた佐々木葉さんはコンペの1位と2位が同点だったことを明かし、「『希望の星』というか、遠くに視野を持って、分からないことはあるけど、『何かしようぜ前橋は』という熱意が感じられた」と高く評価した理由を説明した。
▲コンペの審査を務めた石田さん(左)と佐々木さん
▲左から田中さん、小川さん、鶴田さn
コンペの提案者であるWRTプリンシバル共同経営者の鶴田景子さんは「柔軟性が重要。5年先、10年先、20年先のニーズに合わせて変えることで、唯一無二のユニークなモビリティシステムを作れる」と未完成の作品の魅力を語った。
民間主導のまちづくりを進めている一般社団法人「太陽の会」の代表理事の田中仁さんは「日本初のチャレンジ。世界にも例がない。上州人パワーで何とか成功させたい。(計画では)2040年の完成となっていますが、もっと早いですよね」と官民連携による事業の早期実現を誓った。
縁側トークで意見募集
シンポジウムに合わせて、前橋リッジラインを周知する地元まちづくり会議が前橋プラザ元気21にぎわいホールで開かれ、県庁-前橋駅間の模型やパネルを展示した。
8月24日はまえばし縁側トークが区間内6カ所であり、気軽に立ち寄ってもらい意見を求める。
▲県庁前広場(手前)から伸びる前橋リッジライン


