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終戦80年、平和の空へ 
8月9日、前橋花火大会

2025.07.22

終戦80年、平和の空へ 
8月9日、前橋花火大会

 第69回前橋花火大会が8月9日、利根川河畔で開催される。1万5000発が夜空を彩り、白銀の大瀑布、七色に変化する花火、前橋ウィッチーズにちなんだ演出など多彩なプログラムが並ぶ。終戦から80年の節目に、花火の色で平和への祈りを伝える。
(取材/阿部奈穂子)

白銀で祈りの光

 1948年に始まった前橋花火大会は、空襲と終戦からの復興を願ってスタートした。戦争を語り継ぐ意味でも、今年の大会は特別な意味を持つ。

 開幕を飾るのは、前橋華龍太鼓と勢多農林高校郷土芸能部 勢凜(せいりん)による合同演奏。勢いよく打ち鳴らす太鼓の響きに呼応するように、オープニング花火「萌芽の宵(ほうがのよい)」が夜空に舞い上がる。

▲色鮮やかな花火が上がる

 続くプログラム2は「四季綺譚(しききたん)」。全長800㍍の超ワイドスターマインで、打ち上げ場所と観覧席の距離がわずか200㍍という前橋ならではの迫力を楽しめる。首を振らなければ視界に収まりきらない横幅と、四季の色をイメージした演出が見どころだ。

 今年の目玉のひとつが、プログラム4「白銀の大瀑布」。白と銀だけで構成された慰霊の花火で、終戦80年の節目にあわせて特別に力を込めている。花火の企画制作、打ち上げを手がける上州花火工房の吉田敬一工場長は「前橋空襲で多くの命が失われた80年前を思い、心の中で祈ってほしい。白銀の光に鎮魂の思いを込めた」と語る。

▲吉田工場長

前橋ウィッチーズ、夜空に登場

 プログラム3では、前橋が舞台の人気アニメ「前橋ウィッチーズ」とのコラボ花火が登場する。

 歌に合わせてキャラクターのテーマカラーが次々と打ち上がる演出で、子どもから大人まで楽しめる。人気キャラクター、ケロッペをイメージしたユニークな花火も。

▲前橋ウィッチーズのキャラクターカラーの花火も

 プログラム5では、吉田さんが開発した世界で唯一の「七色に変化する花火」が打ち上げられる。2010年に公開された前橋まち映画『虹の街』のテーマソングに合わせて展開される特別演出だ。

 「夜の虹“月虹”をイメージしました。一生に一度か二度しか出会えない月虹。幸せを呼ぶ花火として見てもらえたら」と吉田さん。遠方からこの花火を目当てに訪れる人も多い。

▲遠方からもファンが訪れる虹の花火

 フィナーレは、映画『永遠のゼロ』の主題歌、サザンオールスターズの『蛍』と、『Code Blue ~the same spirit~ movie ver.』に合わせた壮大で色鮮やかな超ワイドスターマイン。過去と未来をつなぐ、静かで力強い締めくくりとなる。

 吉田さんは「今年は特に緑と紫の発色に力を入れた。明るすぎず深みのある色に仕上げるのが難しいが、平和の象徴として美しく咲かせたい」と話す。

▲前橋花火は星の密度が違う。左が前橋花火で、右が一般的な花火。それが美しい色の理由

【第69回前橋花火大会】

開催日:2025年8月9日(土) 19時~20時10分(予定)

会場:利根川河畔(大渡橋南北河川緑地)

打ち上げ数:約1万5000発 

※荒天時は翌日に順延

プログラムは大会公式サイトhttps://www.maebashihanabi.jp/program/をチェック