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「秘密基地」ができたよ
ソウワ・ディライトに新拠点

2025.05.27

「秘密基地」ができたよ
ソウワ・ディライトに新拠点

 トランポリンがあり、「世界一小さな」本屋さんがある。動物とも触れ合える子供たちの自由な空き地、ソウワ・ディライト(前橋市小屋原町、渡邉辰吾社長)の「coco no mori(ココノモリ)」に新たな拠点が誕生した。子供だけが入れる「秘密基地」。ワクワクする空間で隊員は何をしているのか―。

子供の歓声、大人の活力に

 秘密基地はソウワ・ディライトの本社に隣接して建てられた高さ約3㍍、トタン屋根の木造平屋。ゴールデンウイークを利用して、渡邉さんと仲間のアーティスト、Hi-D(ハイディ)さんらが子供たちから生まれたアイディアをもとに造り上げた。

▲基地造りに協力する子供たち

 ココノモリには平日でも数十人、休日には200人の小、中学生が集まってくる。

 少年時代にいたる所にあった秘密基地を造ろうと、渡邉さんが何人かに声を掛けたところ、「何それ?」とつれない反応ばかり。

 「いまの子はきちんと整備された公園でしか遊んだ経験がなく、自分たちで何か造ろうという発想がない」と嘆きつつも、基地造りを始めると次第に手伝う子が増えてきたと喜ぶ。

 材料はすべて廃材を利用した。組み立ては大人が担い、子供たちは板を切ったり、磨いたりした。

▲秘密基地の屋根に乗って遊ぶ

 完成した秘密基地でいま、子供たちは好き勝手に時間を過ごしている。屋根の上に昇り、鉄棒を使って下に降りたり、ベンチにもたれかかったり。だんだんと、居心地の良さにはまってきたようだ。

 基地は4、5人で満員御礼。長居した人は順番を譲り、みんなで楽しさを享受している。

 「大人がいない子供たちだけの社会の中で自然とリーダー的な存在が出てきた。昔のガキ大将のように」と静かに観察する渡邉さん。

 野球のポジションにたとえ、「エースだけでなく、いろいろな大事な役割があり、それぞれ適任者がいてバランスのよいチームとなる」。まさにそこには自然なコミュニティーが生まれている。

▲ビニールハウスの会議室でオンライン会議ができる

 ココノモリでの活動には一切、口出ししない。時折、植物が生い茂るビニールハウスの会議室にリーダーたちを集め、数十㍍離れた本社の会議室とオンラインで繋ぎ、子供たちの要望を聞いたり、近況に対して大人の目線で助言したりする。

 ココノモリでは子供たちの歓声が響き渡る。「幸い、ご近所さんも理解していただき、応援してくれる。元気な姿が会社の社員を含め大人たちの活力になっている」。渡邉さんは子供たちのために始めた取り組みが大人にもいい効果が表れていることを実感している。

トランポリン、本屋、牧場

 ソウワ・ディライト は渡邉さんが父親である先代から会社を引き継いだ10年ほど前、敷地内にベンチやオブジェを置いて、会社を地域に開放し共用スペースを設けたのが始まりだった。

 近くの耕作放棄地に植栽して森を造った。トランポリンのあるアスレチック施設を設け、小さな図書館とギネスの世界記録に認定された極小の本屋さんを作った。地域の人たちが火を使って料理を楽しめるよう、竈やピザ窯まである。

▲トランポリンは年に数回張り替える

▲世界一小さな本屋さん

▲白馬をはじめ動物はみな”社員”

 少し離れた場所には牧場を作り、馬やヤギ、ロバ、ヒツジにアイヌ犬を“社員”として共に暮らしている。

 従来の企業の在り方にはない地域活性の核となる年齢や種を超えての生のダイナミズムがこの地から生まれ始めている。