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中学生の君へ贈る「オープン・ダイアローグ」体験会 
まえばし対話フェス

2025.01.10

中学生の君へ贈る「オープン・ダイアローグ」体験会 
まえばし対話フェス

 1 月26日、2月9日、3月23日の3日間、中学生を中心とした年代と彼らを取り巻く大人世代に向けて、市内3つの臨床心理オフィスが協力し、「まえばし対話フェス」を開く。前橋市の指定する「中学生・多様な学びの日」 のイベントとしても紹介されている。WHO(世界保健機関)に認められたフィンランド生まれのオープン・ダイアローグ(以下、OD)を体験しよう。主催する4人に話を聞いた。(取材/柁原妙子リポーター)

心の変容を体感する

 「開かれた対話」と訳される ODの特徴は、リフレクティング(反射という意味)という進め方。

 どんなことをするのだろうか。

 中学生向けのプログラムでは、まず8人が4人ずつの2グループに分かれ、テーマを決めて片方のチームが話す。次にそれを聴いていたもう片方のチームが感じたこと、気付いたことなどを話す。さらに、はじめのチームがそれを聴いて感じたこと、気付いたことなどを話す。

 文章にするとただそれだけだが、話し手がすべて話し切る、聴き手がすべて聴き切るという体験が心に作用して、参加者に新しい気付きが起こる。

▲ODを体験しよう。保護者・教員はこんなイメージ

 加藤達矢さん、坪田裕佳さん、畠山正文さんは臨床心理士、公認心理師の有資格者。3人とも市内に自身のオフィスを構え、カウンセリングなどを行っている。白鳥浩丈さんは高崎健康福祉大社会福祉学科講師で、坪田さんのオフィスのスタッフでもある。

 畠山さんは市教育委員会の委員も務めており、令和6年から前橋市が行っている「中学生・多様な学びの日」のイベントの一つとしてODの体験会を提案したところ賛意を得た。加藤さん坪田さんらとともに開催する。「コミュニケーションで悩み苦しむ中学生に、こういう場があることを知ってもらい、聴き方、伝え方を少しでも掴んで帰ってもらえたら」と期待する。

 「対象は前橋在住、在学に限らず、子供だけ、保護者だけ、友達や恋人同士、また探求学習目的の参加もオーケーです」と坪田さん。見学は不可。

 スタッフは4人を含めた様々な専門家13人。この中から各回8名ほどがサポートし、安心安全な場が提供される。

▲畠山さん(写真右)

▲会場は前橋駅近くにあるダイアローグ・ラボぐんま

日本に浸透していく対話の哲学

 ODは、80年代にフィンランドの精神医療分野で生まれた。当事者と家族、医療者らとの対話により薬をほとんど使わずに精神疾患が治療できることから、衝撃をもって世界に注目された。白鳥さんは「一人ひとりの声を大切にしていこうという営み」と説明する。 

 2021年5月には、WHOが発出した“地域精神保健サービスに関するガイダンス”で、優れた取り組みのうちの一つとして紹介された。加藤さんは「対話的でない今の社会に、文化的な変革を起こせるのでは」と展望する。

▲白鳥さん

▲加藤さん(写真右)

 日本においては急速に各分野に広がりを見せ、渋谷区では地域の課題や問題解決に取り入れた。

 前橋市内では、群馬大学で2022年9月より学生支援に用いている。2023年5月には坪田さんが「できるところからやっていこう」と、臨床心理オフィス「ダイアローグ・ラボぐんま」を開設。この他、市民向けの講演会や体験会なども開かれている。

▲坪田さん

フィンランド生まれの対話 まえばし対話フェス
日時 1月26日(日)、2月9日(日)、3月23日(日)いずれも10時から12時
会場 ダイアローグ・ラボぐんま(前橋市南町3-11-2 KMビル2階) 
対象 中学生(小学校高学年から高校生)、保護者、教員
定員 各回先着順 中学生8名、保護者・教員8名
参加費 無料
要予約 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfn1A2L4MYMQOhTqW_7-cjsI_Y6PYSxJSC1mguLWWusPTlHxw/viewform