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金属バットでランプシェード
前商生が企業と共同開発

2024.12.17

金属バットでランプシェード
前商生が企業と共同開発

 プロ野球の日本ハムファイターズにドラフト4位指名された清水大暉投手ら前橋商業高校の3年生4人が廃棄される運命にあった金属バットを再活用し、ランプシェードに生まれ変わらせた。授業の一環として取り組んだ前橋市内の企業との共同開発。マグカップや楽器も製作してもらい、思い出の詰まったバットを“再登板”させた。

マグカップ、楽器も製作

 前橋商業高校の3年生が1年間かけて取り組む課題研究で野球部員3人が入ったグループが企画した。
 高校野球は今春から低反発の新基準バットが導入され、これまで使っていたものは不要となった。部の倉庫には50本以上もあり、「捨てるのはもったいない。SDGsの観点から再活用しよう」と金属バットの加工を研究のテーマにした。

▲加工され命を復活させた金属バット

 清水投手が野球部の後輩の父親でPTA副会長を務める鋼材商社、番貞鋼材(前橋市泉沢町)の番場太一社長に相談。精密板金業、アリギス(前橋市天川大島町)の須田耕司社長を紹介され加工を依頼した。
 金属バットの再活用では沖縄県高校野球連盟がすでに花器に加工して販売している。4人はさらに進化させ差別化を図ろうと、キャンプに使う飯ごうやキーホルダーなどを考案したが、須田社長のアドバイスを受けてバットを1本丸々使えるように変更。バットの先端をマグカップ、中央をランプシェード、根本を金管楽器に加工することにした。
 アリギスの工場に通い、実際に加工作業にも加わった。ランプシェードは清水投手の投球フォームから光が漏れるようにデザイン。ハンマーを叩いて、マグカップに自分の名前を刻印した。

▲清水投手の投球フォームをデザインしたランプシェード

清水投手「感謝しかない」

 アリギス本社で12月17日に完成品を受け取った4人は完成度の高さに感激し、両社長や製作にあたった社員にお礼を述べた。

 年明け早々に日ハムの新人合同自主トレに参加する清水投手は「すごく難しい加工をきれいに仕上げていただき、感謝しかない。前商に入って、仲間や企業のみなさんと共同開発することができてよかった」と大喜び。千葉県鎌ケ谷市の合宿所に持ち込み、勇気をもらう「お宝」にするつもりだ。

▲アリギスの社員と完成を喜び合う

▲清水大暉さん「すごく難しい加工をきれいに仕上げていただき、感謝しかない。合宿所に持って行きます」

▲鈴木傑琉さん「ソフトテニス部ですが、野球が好き。班長を務め、みんなの意見をまとめました」

▲高橋亮汰さん「清水の投球フォームをネットで探しデザインしてもらいました。完成度が高く驚いています」

▲庭野涼介さん「使いこまれた感じがして、すごくいいです。3年間使った思い入れがあります」

須田耕司社長の話(写真右から2人目)

 マグカップの底を作るのをはじめ高度な溶接技術が求められたが、社員が頑張って加工してくれた。生徒たちがものづくりの面白さを感じてくれればうれしい。商品化して、全国に普及させたい。

番場太一社長の話(写真右)

 9月に清水投手から相談を受け、須田社長に製作をお願いした。精密な加工で生徒も喜んでくれた。高校生とコラボレーションできて私もうれしかった。実用品であり、いい思い出になるでしょう。