和楽路（わらじ）
まぐ茶 艶やかで滑らか

「お一人さま、カウンターへどうぞ」「お父さん、定食３つ。１つは大盛り」「お母さん、サラダお願い」。店の司令塔、看板娘の元気な声が響きます。いつもながらテキパキ。ご両親との息もぴったりです。

入口にお薦めが書かれてありました。「秩父風わらじタレカツ丼」。心を動かされます。でも、注文は相変わらず。「まぐ茶にポテサラ付けてください」。なぜか、単品でなく、セットにしてしまいます。

丼にご飯をよそい、刻み海苔を敷いたら、あらかじめ漬けにしておいたマグロの切り身を並べて出来上がり。注文から数分で配膳されます。

マグロは程よく脂が乗った「小トロ」。赤身の持つマグロ本来の旨みと中トロのしっとりとした脂の乗りを一度に味わえます。一番好きな部位。漬けにすると、艶がよくなり、食感も滑らかになりますね。

ご飯は酢飯ではなく温かい白飯。タレが丼の底にも掛けられていて最後まで美味しくいただけます。ネギのみじん切りとワサビがいい働きをします。口直しになり、無限に食べられる気になります。

しっかり出汁を取った豆腐とワカメの味噌汁に漬物。きちんと職人が作る脇役もご飯をより美味しくしてくれます。

ポテトサラダは粗めに潰したジャガイモにキュウリがわずかに入った素朴な一品。マヨネーズは少なめです。醤油ドレッシングのサラダと一緒に食べてもいいのですが、いつもウスターソースをたっぷり掛けます。変わらぬ味。うれしくなりますね。

前橋市役所を挟んで近所にある観堂食堂さんもまぐ茶を看板メニューにしています。ともに創業者は前橋市中心街にかつてあった料亭で板前をしていて独立しました。兄弟弟子が残したまぐ茶の食べ比べを楽しんでみてください。