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屋内に森をつくる 
フォトグラファー宮崎真一さんの挑戦

2024.04.22

屋内に森をつくる 
フォトグラファー宮崎真一さんの挑戦

前橋新聞me bu ku 12号の表紙は、森の妖精になったあかぎ団。撮影は本当の森ではなく、フォトグラファー・宮崎真一さんが経営するスタジオ「リュシータ」(高崎市東貝沢町)で行った。2年間かけてスタッフと共に、手作業でつくりあげた唯一無二の“森のスタジオ”だ。使用したアートグリーンは2トントラック10台分以上。なぜ、「屋内に森をつくる」という奇想天外な試みに挑戦したのか。宮崎さんに話を聞いた。

暑さ寒さも虫もいない快適な森を

――森のスタジオをつくろうと考えた理由は?

フォトグラファーとして20年間、ロケーション撮影をしてきました。屋外は印象的な写真は撮れますが、雨で延期になったり、暑さ、寒さに悩まされたり、自然豊かな場所では蚊や虫がいるし、衣装が汚れる心配もある。風が吹けばドレスや髪が乱れるし、観光地に行けば人がたくさんいる。さまざまなリスクがありました。

そこで、貸し切りで、自然の中なのに暑さも寒さも虫の心配もない魔法のようなスタジオがあればいいと考えたのが始まりです。2019年のことです。

▲森の妖精をイメージしたあかぎ団の表紙写真。撮影/白久雄一

――宮崎さんとスタッフさんが手づくりで完成させたそうですね。大変なことも多かったのでは?

この建物、以前はお花屋さんだったんです。それをリノベーションしました。

まず、床をぶち抜いて、天井を高くしました。柱も何本かあったのですが、大黒柱だけ残して取り除きました。大改造を大家さんが「いいよ」と言ってくれたのはありがたかった。

――スタジオの大きさは?

5㍍×3.5㍍です。天井の高さは3㍍。

この空間を乳白色のアクリル板で囲み、外側にライトをつけました。木洩れ日を演出したくて。

内側には網を張り、アートグリーンを結束バンドで取りつけていきました。これが思いのほか大変で…。たくさん付けたつもりでも、ライトを灯すとスッカスカ。どんどんアートグリーンを増やしていき、予算も工期も大幅にオーバーです。当初は1年で完成するかなと予測していたのですが、結局2年かかりました。

▲完成した森のスタジオ

――あかぎ団のメンバーは「こんな場所見たことない」「素敵」「可愛い」と盛り上がっていました。

そういっていただけるのが本当にうれしいです。現実にはない、ファンタジーな森をつくり出せたと思っています。ジブリの世界をイメージして。だからいろんな色の植物があったり、いろんな小物が宙に浮いていたり。アートグリーンの仕入れや選定は前橋の「HANADAN CAFE」さんが協力してくれました。

――ここでウェディングフォトを撮りたい、と希望される人が多いとか。

はい。女性を美しく撮れるスタジオなんです。乳白色のアクリル板で覆われ、優しい光に満ちているので。ウェディングや家族写真などで利用してくださる方が多いです。

▲ウェディングフォトの依頼が多い。撮影/宮崎真一

――今後、スタジオの新たな活用方法を考えているそうですね。

現在は僕の会社「リュシータ」専属のフォトスタジオなのですが、今後はアートを飾るギャラリーやマルシェなど、多くの人に多目的に利用してもらえるといいなあと思っています。この夏、プチリニューアルをして、さらに魅力的なスポットにしていきます。

▲森のスタジオをつくった宮崎さん

店舗情報

スタジオ「リュシータ」

お問合せはこちら
027-388-9717
住所 高崎市東貝沢町1-14-13 
ホームページ https://ryusyita.com/