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【密着ルポ】「るなぱあく」を撮る 
東京カメラ部10選の富久浩二さん、前橋へ

2023.11.08

【密着ルポ】「るなぱあく」を撮る 
東京カメラ部10選の富久浩二さん、前橋へ

1954年(昭和29年)誕生のレトロな遊園地を、スナップ写真の名手が撮るとどうなるのか――。東京カメラ部10選、富久浩二さんが10月下旬、前橋を訪れました。今回の目的は「るなぱあく」です。やはり、一般の方が撮るスナップ写真とは、目の付け所が全然違います。富久さんの目になったつもりで、密着リポートします。(取材/阿部奈穂子)

園の周りを歩く人に注目

この日は朝方、大雨が降りました。「もしや休園?」と心配していたら、開園前には気持ちのいい青空に。幸先良いです。

地下通路を通って、「るなぱあく」の入り口に向かいます。「この通路、おもしろいですね」と富久さん。クラゲやオオカミ、鳥などのイラストが描かれています。角度によって光が差し込むところも。早速、撮影開始です。

 

▲不思議な迷路の世界が現れました

▲地下通路からるなぱあくの入口の光が…。緑の柵が、模様として生きています

園内は、大道芸で盛り上がっています。レインボーの傘でボールを回す演者さん。大笑いする子どもたち。富久さんの目は演者さんを飛び越えて、園を囲むフェンスへ。

「遊園地の中だけでなく、周囲を歩く人を入れると、おもしろい写真になりますよ」とアドバイス。

▲大道芸人と上から見つめるお年寄り

▲水たまりのリフレクション。ここでも園の周りを歩く人をとらえます

乗り物が普段とは違う顔に

「るなぱあくはシャッターチャンスが無限にありますね」と、楽しそうに歩き回ります。といっても普通に撮らないのが富久さん流です。

シャッタースピードを遅くして、カメラをぐるぐる回しながら撮影したメリーゴーランドはこちら。

▲近未来の乗り物みたい

▲くるくるサーキットもなんだかカッコいい

この日、園内はハロウィン飾りにつつまれていました。「とことこ迷路」の入口で、撮った一枚がなんとも印象的でした。

普通なら派手なカボチャランタンに目を奪われがちですが、富久さんは、木の柵の間から出た子どもたちのかわいい手をとらえていたのです。

▲小さな手がドラマを演出しています

▲もくばの鼻に当たった光、看板の上部にも等間隔の光が

▲電気自動車も周囲の柱を入れてアーティスティックな一枚に

今回も次々とおもしろい場面を見つけ出し、すばらしい瞬発力で写真におさめていく富久さんに驚かされどおしの一日でした。

るなぱあくの新しい一面に出会えたような気がします。今度、真似して撮ってみます。

▲想像がふくらむ影のアート

とみひさ・こうじ

フォトグラファー1970年福岡生まれ。東京都在住。2012、2013年「東京カメラ部10選」に選出。2011年 イギリスのマガジンCamerapixioにて日本人初の掲載/2012年 ナッジオのDaily Dozen2回選出/2012年 インドのAPF Magazine Street Photographyにて日本人初の掲載/2012、2013、2014、2015年イラクでの国際写真展に展示。