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弁天アパートメントが完成
レトロな通りにモダンが調和

2023.10.05

弁天アパートメントが完成
レトロな通りにモダンが調和

前橋市中心街の北の玄関口にある弁天通りに建設していた若者向け賃貸住宅「弁天アパートメント」が完成した。11月に入居が始まる。昭和の香りが色濃い通りは古くからの専門店と新参の若者の店が同居する「懐かしくてカワイイ」不思議な空間。モダンでありながら街並みに調和するランドマークは「めぶく。」前橋の新名所となりそうだ。

4階建て、屋上から赤城山や街並み

弁天アパートメントは鉄筋コンクリート4階建て。延床面積は約580平方㍍。外観はコンクリートの打ち放しで、窓を広く取ることで建物と通りが繋がっている印象を与えている。3棟に分かれ、各棟は廊下や階段で結ばれ一つの建物となっている。

1階はランドリーなどの共用部分で、飲食店がテナントとして入る予定。

▲広瀬川遊歩道から見たアパートメント

▲1階の共用部分。奥は斜めにせり出し、窓が設けられている

住居は2、3、4階に17室ある。各部屋20平方㍍前後で、単身か2人向け。キッチン、シャワー(一部バス)、トイレやエアコンが完備されている。内壁には穴のある木質ボードを採用、穴にフックをかけて絵や写真を飾ったり、収納に使える。

▲アーケードの屋根がアートのように見える部屋

▲明るいキッチン

▲広瀬川を見渡せる部屋もある

緑化された屋上が各棟にあるのが最大の特長。エアコンの室外機を覆うように木製のベンチやテーブルが置かれている。広瀬川のせせらぎを聞き、北に赤城山、南に市街地の全貌を望みながら、パーティーをしたり、読書をしたりと自由な時間を過ごせる。

 

▲屋上は緑化が行われ、夜にはライトアップされる

▲屋上では北側に赤城山がくっきりと見える

▲うねる屋根。南側はアーケードを見下ろす。レトロな世界

若者居住、弁天通りににぎわい

アパートが建てられたのはかつて「薔薇」という人気喫茶店があり、若者でにぎわった場所。2009年に閉店しシャッターが閉じられていた。

中心街は1階が店舗、2階が住居という形態が一般的だったが、住居を郊外に移す人が増え、夜間人口が減少していた。アパートの完成により、20人近くの若者が居住することになり、街のにぎわいにつながると期待される。

弁天アパートメントは合同会社マーズが企画、運営する。

▲建物の周りを緑で飾る

▲コンクリートの壁と螺旋階段が美しい

設計を担当したのは前橋工科大工学部教授を務める駒田剛司さん、由香さん夫妻の駒田建築設計事務所(東京都江戸川区)。3棟に分けた理由について、駒田さんは「小さな粒がある街にはボリューム感ある塊より、分棟した方が街に没入でき、街と調和できる」と説明。窓から赤城山や広瀬川とともにアーケードの屋根や通りが見えるよう工夫したという。

施工は小林工業(前橋市表町)が請け負った。2022年10月に着工、2023年9月完成した。

▲設計を手掛けた駒田教授。アパートメントの模型を前に

▲弁天通りの北端に建つ