聞きたい角田さん2▶︎
縫製会社に弟子入り 自らミシンで制作する

多発型脱毛症で髪の毛を失ったことから、ヘッドスカーフを開発した角田真住さん。さまざまな色や柄を取り揃え、髪が無くてもおしゃれを楽しめる提案をする。群馬県産シルクを素材に、自ら工業用ミシンを使い、一品一品手づくり。それにより、少量多種の生産が可能に。現在はネット販売がメインだが、2022年春には前橋のまちなかに実店舗「LINOLEA(リノレア)」を構える。

―2016年、ヘッドスカーフの会社を立ち上げました。
 「縫製会社のある桐生市で『アルモニア』という会社を起業しました。アルモニアとはイタリア語で調和という意味。いろいろな人が調和し合って社会を築いていきたいという願いを込めて。
 商品は『リノレア』と名付けました。ハワイ語で、リノは結ぶ、レアは笑顔という意味。ヘッドスカーフで笑顔を結びたいと考えました。
 商品をつくる資金はクラウドファンディングで集めました。目標金額を140万円にしたところ、10日間で達成。最終的には252万円の援助が集まりました。周りの方々の温かみが身に沁みました。本当にありがたかったです」
 ―当初はどんなラインナップで展開したのですか。
 「グリーン、チャコール、ブラウン、花柄の4種類です。普段の洋服とマッチしやすい色や柄を選びました。ネットを中心に販売したところ、私と同じ脱毛症や抗がん剤治療で髪の毛を失った女性たちから、こんな商品を待っていたという喜びの声をたくさんいただきました」
 ―大変だったことも多いのでは。
 ヘッドスカーフはとにかく縫製に手間と時間がかかります。縫製会社に依頼ができず欠品が続いた時期もありました。ロットが少ないので、なかなか受けてくれる会社がありません。
 また、お客様からの要望を受け、色や柄のバリエーションを増やすことも考えたのですが、新しい商品を手掛ける場合、サンプルづくりに3~4カ月かかる。どうしようかと、すっかり煮詰まってしまいました」
 ―どのように突破したのですか。
 「GISの先輩起業家から『自分で縫えばいいんじゃないの』とアドバイスをもらいました。『え、私が』とビックリです。縫製なんて、高校の家庭科の授業以来です。手先も器用な方ではありません。
 迷っていたところ、『できないというのは逃げだ』『起業はそんなに甘いものじゃ ないんだよ』、先輩の強い言葉に後押しされ、縫製会社に弟子入りすることに」
 ―修業は大変だったのでは?
 「まず裁断に手こずりました。スカーフの生地はツルツルしているので、何枚か重ねて切るとよれてしまいます。1枚ずつ丁寧に時間をかけて切ります。プレタポルテではなく、オートクチュールみたいなつくり方だね、と言われました。
 それ以上に難しかったのはミシン。設定から教えてもらいました。伸縮性のある布を重ね合わせて縫うのは本当に困難で。糸がつれてしまったり、切れてしまったり。手作業で調整ができるまで、1カ月以上、縫製会社に通い続けました。
 でも、人は本気になればなんでもやれるものです。商品を自分の手で一から完成させたときの喜びは忘れられません」

つのだ・ますみ

1977年10月、伊勢崎市生まれ。前橋女子高-東京水産大学卒。県内の水産会社勤務を経て、2015年、「群馬イノベーションアワード」ファイナリスト。2016年、ヘッドスカーフの「アルモニア」創業。

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