聞きたい櫻井さん4▶︎
前橋を「うまい橋」にする
グルメで街中ににぎわいを

「ハートマーケット=心の市場」。何と心に染み入る素敵な名前だろう。代表の櫻井明さんは天からの授かりものというこの言葉を28年間、大切にしている。経営者として決して順風満帆ではなかった。運に恵まれず、人に裏切られ挫折も味わった。それだけに「ハート」を大事にしている。わずか8坪で始まった店は全国60カ所以上に広がった。

―ハートマーケット川原店の開店にあたり、「イルクオーレ」を併設しました。飲食業に進出した理由は。
 「駆け出しのころ、ジンズの田中(仁)さん、ハンプティダンプティの貫井(哲夫)さんと毎晩のように飲んでいた。3人で夢を語り合っていました。
 その中で『これからは飲食だ』と盛り上がって。3人で一緒にやろうなんて話も合ったくらい。2人とも実際、店舗内にカフェを出しました。
 自分が最後に川原に店を出したので、『カフェレストラン』なんていう変な造語を作って、カフェとレストランの中間的な店を出しました」
 ―飲食業は順調でしたか。
 「最初はガラガラ。ずっと赤字でした。シェフに任せていたけど、埒が明かないので自らメニュー開発に乗り出しました。
 いまのイルクオーレセットというセットメニューを考えました。サラダ、スープ、パスタに3点盛りのドルチェとお替わり自由のコーヒーを付けました。これが正解だった。ドルチェが川原マダムの心をつかんだのです。
 コーヒーもお替わり自由だからといって安いのではなく、ちゃんと香りの高い美味しいのにした。回転は悪くなりますが、ゆっくり楽しんでもらえる。ハートマーケットにも寄ってもらえるので、相乗効果もありました」
 ―多店舗展開の計画は?
 「現在は前橋と伊勢崎の2店舗で、合わせて年間売り上げは1億円くらいでしょう。コロナでも影響はあまりありません。郊外にあり、女性客やファミリーが中心なので、アルコールに依存していません。ファミリーレストランより少し高いけど、ゆっくりワンランク上の料理を味わえるのが受けています。
 他の地域にもあると喜ばれる店だと自負しています。チェーン展開していき、売り上げも10億円を目指したい。
 飲食では、『とり心』という焼き鳥店を前橋市中心街に出しました。こちらはコロナの影響をもろに受けていますが、落ち着いたら力を入れます」
 ―創業の地である前橋市中心街ですね。
 「とり心のほか、街中に数店舗、飲食店を出すことを考えています。お世話になった街の活性化につながればうれしいですね。
 これとは別に、テルサ前のビルを購入しました。コロナで進んでいませんが、一坪ほどの小さな飲食店をたくさんの若い子たちに経営してもらう計画を立てています。スペインのバルのように、気軽にはしご酒を楽しめる。いいでしょう。
 商売を覚えたら3年以内に街中に出店することを条件に安い賃料で貸し出します。街中はいまもいい店が増えてきましたが、もっと個性的な店が集まれば楽しい街になる。
 前橋を『うまい橋』にしたいですね」

 

さくらい・あきら

1963年5月、安中市生まれ。農大二高卒業後、国鉄に就職する。洋服店勤務を経て起業する。2度の失敗を経て、ハートマーケットを創業。前橋市中心街に8坪の店を開く。


ハートマーケット

1993年11月創業。前橋、高崎市の中心街に出店から郊外型に移し、2002年、前橋市川原町に旗艦店を出店する。全国展開を加速させ、店舗数は全国に60店以上ある。売上高は16年度に100億円。

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