聞きたい小木津さん3 ▶︎
「どこでもドア」が実現。 車がレストラン、ホテルに

「どこでもドア」が実現するかもしれない。そんな予言をするのは自動運転研究の第一人者、小木津武樹さん。群馬大大学院理工学府准教授にして、自動運転の導入を進める日本モビリティ役員。自動運転を分かりやすく説明してくれます。

―自動運転に関しては学生の関心も高いのではないですか。
 理工学部の推薦入学希望者の中に自動運転を学びたいという人が増えているそうです。私が講演した地元の高校の生徒さんの関心も高いですね。「すごく刺激になりました」と感謝されました。 私はこういう若い子が「自動運転社会の主役」になってくれると信じています。
 普通の車が固定電話、運転支援システムがガラケーなら、自動運転はスマホにあたりましょうか。
 ―そんな感じですね。いまはガラケーとスマホが混在している状態でしょうか。
 固定電話やガラケーでなく、スマホを当たり前のように使っている大学生や高校生は、われわれの想像をはるかに超えた、自動運転のさらなる可能性を引き出してくれるに違いありません。
 スマホで私たちでは考えられないサービスに気が付いていますから。自動運転でもまったく違った発想で、私たちが想像できない使い方をきっと見つけてくれます。
 ―確かに、期待できますね。小木津先生は完全自動運転を現代版「どこでもドア」と表現します。どういう意味でしょうか。
 30年後の前橋市を想像しましょうか。公共交通のバスやタクシー、荷物の配送などの物流は完全自動運転に切り替わるでしょう。
 一般の車でも一部そうなるかもしれません。自動運転はまず、限られた地域から始めるはずです。ですから、お年寄りが近所のスーパーで買い物をしたり、病院に通うのに便利ですね。
 自分で運転する必要がないですから、自動車がご飯を食べながら移動するレストラン、寝ている間に移動するホテルになるわけです。
 移動していることを感じずに、ドアを開けたら目的地に着くことができる。まさに、ドラえもんの「どこでもドア」でしょう。
 ―確かに便利になります。飲酒運転とか、スピード違反もなくなる可能性があります。
 安全性もぐっと向上します。よそ見をするとか、注意が散漫になるとか、スピードを出し過ぎるとか、そういう人間のミス、不注意による事故は激減すると期待できます。ブレーキとアクセルの踏み間違いもなくなりますね。
 さらに、車両同士が通信し合いますので、わずかな車間距離で安全に多くの車が走ることができます。渋滞が解消され、快適な移動社会が実現します。

小木津武樹(おぎつ・たけき)

1985年8月、東京都生まれ。慶応大環境情報学部―大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士。東京理科大理工学部助教を経て、群馬大大学院理工学府准教授。


日本モビリティ株式会社

2020年7月、群馬大学発ベンチャーとして設立した。16年12月に発足した次世代モビリティ社会実装研究センターを研究機関と位置づけ、業界初の「無人移動サービス導入パッケージ」を構築、自動運転の社会実装、無人移動サービスの導入を支援する。

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