interview

聞きたい

【聞きたい小木津さん2 ▶︎】
究極の夢は鉄腕アトム。 自動運転で第一歩を

2021.08.18

【聞きたい小木津さん2 ▶︎】
究極の夢は鉄腕アトム。 自動運転で第一歩を

「どこでもドア」が実現するかもしれない。そんな予言をするのは自動運転研究の第一人者、小木津武樹さん。群馬大大学院理工学府准教授にして、自動運転の導入を進める日本モビリティ役員。自動運転を分かりやすく説明してくれます。

―「自動運転オタク」と称される第一人者。研究は大学に入学した2004年から始まりました。

究極の夢は鉄腕アトムを造ることでした。人間みたいなロボットを造って、人間を助けたいと。それを実現するために大学に入りましたが、いまほど、AIの研究が盛り上がっていませんでした。
自動運転の研究室を見つけて、アトムの先祖は自動運転なのではと想像を膨らませました。

―おもしろい発想ですね。

ロボットアームはアトムのようなパワーを持っていますが、人間から隔離されています。掃除機のルンバは人間のそばにありますが、危害を加えないよう力を制御されていますね。 唯一の特例が自動車。パワーを持ちながら人間のそばを走れます。そう思うと、まずは自動車のロボット化、自動運転を実現させることがアトムへのマイルストーンかなと思いました。

5年ほどやっています。自治体や交通事業者からのオファーを受けて手掛けた実証実験は北海道から九州まで60事例に及びます。島しょ部もあれば、豊洲など都市部もありました。実験を繰り返す中で、どこにどう導入するのが適切か、課題や展望が肌感覚で得られたことは大きな財産です。
自動運転に関して10社以上の企業と連携しています。企業の技術、サービスをどう変えていくか、相談から開発まであたっています。
その一例が、機械式駐車場にバックで車庫入れする実験の成功です。平場の駐車場と違って、幅がぎりぎりで、入れるのが難しい。でも、自動運転ならできるわけです。すぐにでも役立つ事例でしょう。

―群馬大学発ベンチャーとして昨年7月、日本モビリティ株式会社を設立しました。

会社設立の4年前に大学内に次世代モビリティ社会実装研究センターを立ち上げました。名前通り、次世代の移動手段全般について、電気自動車や自動運転などの技術開発の研究、さらに物流も含めて改良していくのが目的でした。
特に自動運転に関しては一気に設備が整い、全国でも有数の実証実験ができるようになりました。
企業化したのは自動運転導入の機運が全国で高まる中、よりスピーディーに対応していくためです。基礎研究を大学が担い、会社は実際に導入するためのお手伝いをしていきます。

アイキャッチ

小木津武樹(おぎつ・たけき)

1985年8月、東京都生まれ。慶応大環境情報学部―大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士。東京理科大理工学部助教を経て、群馬大大学院理工学府准教授。

日本モビリティ株式会社

2020年7月、群馬大学発ベンチャーとして設立した。16年12月に発足した次世代モビリティ社会実装研究センターを研究機関と位置づけ、業界初の「無人移動サービス導入パッケージ」を構築、自動運転の社会実装、無人移動サービスの導入を支援する。